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2010年2月

2010.02.28

Rollei SL2000Fのグリップ

Rollei SL2000F,3003の撮影準備は終わった。
それなのに雨である。
まったく残念なことだ。
撮影は諦めて、以前から書こうと思っていたローライSL2000F用のグリップについて
の話をする。

Rolleig1_20100228
 SL2000Fの左右にあるレリーズ、3003のように上部にはない。

カメラ関係の書籍にも、ネット上の話を見ても「両側のレリーズで右手、左手で
レリーズできるようになっている」とある。
しかし、実際に使っていると少し疑問を感じる。
それは、このレリーズのある位置なのである。
ハッセルをお持ちの方は判ると思うが、ハッセルやSL2000Fのような箱型の
ボディは、抱え込む、あるいは手で包み込むような形でホールドするのが
使い易い。
そうなると、レリーズは前面に欲しい。
SL2000Fのレリーズ位置でも、確かにボディ下部から手で包むように持てば
丁度良い位置ではあるのだが、そうなるとウェストレベルファインダーならば
良いが、アイレベルではフォーカシングがやりにくい。
私は、このレリーズの位置は「ホールドを補助する装置とセットで考えるように
なっている」と思っていた。

そういう疑問を感じて数年・・・・
あるとき、ようやくRolleiSL2000F用のグリップを入手出来た。

Rolleig2_20100228
 まるで航空撮影用のようはSL2000F用のグリップ

これがそのグリップである。
3種のパーツから成っており、セットで売ればよいのになぜかバラで販売されて
いた(箱が別なので)という事実は、「もし1パーツでも入手できなければ能力を
発揮出来ない」というのがなんとも面白い。

結論から言うと、このグリップがあるとSL2000Fの使い勝手は大きく改善する。
というか、一度これを使ってしまうと、裸のSL2000Fを使う気にはなれない。

Rolleig3_20100228
 グリップ内に内蔵されたピンが絶妙な感触でレリーズを押す

言葉では説明しにくいが、このグリップのレリーズは大変いい感じである。
普通、なにかを介してレリーズを押すと、フィーリングがどうしても低下する
ものである。
しかし、このグリップに関しては「これが入ることにより劇的にフィーリングが
良い」のである。

Rolleig4_20100228
 3種のパーツ。グリップ本体、支持部(レリーズピンあり)、ボディ接続部

グリップはともかく、他のパーツは極めて簡素な形をしている。
カメラのような重いものを、このような単純なダイキャストパーツでガッチリと
支持できるというのは、なんとも巧みな構造である。

Rolleig5_20100228
 グリップ部 六角ボルト1本で必要部分が全て外せる。

支持部、グリップ上部(ハンドストラップ)、反対側の支持部受けの蓋が
ボルトを緩めると外れる。
このグリップ、両側に支持部を固定できるようになっており、利用者の都合で
簡単に組み替えが出来る。
なんとも賢いしくみだ。
ハンドグリップ部のところには、実はレリーズを押すしくみがあるのだが、
SL2000F側にこれを受けるしくみはなく、たぶん他のパーツとの組み合わせで
何かを実現するのであろうが、残念ながら私はそれを所有していないので
謎である。

Rolleig6_20100228
 巧みなダイキャストの造形により、ボルト1本でがっちりと固定される。

支持部については「こんなに細くて大丈夫?」と思うのもさながら、ボディ接続部
との固定がボルト1本で果たして緩んでしまわないのか?という疑問はあった。
しかし、実際に使うとダイキャストの造形の微妙さにより、ボルトを締めると
ビクとも緩まない。
良く考えられたしくみである。

Rolleig7_20100228
 工具(6角レンチ)はグリップに格納。

グリップを使うための6角レンチはグリップに格納されている。
何をするにもこれを使うので、このしくみはありがたい。

3003では上部にレリーズが付き、ビデオのように保持できるハンドグリップが
付いたのでこのグリップは必要ないが、SL2000Fには必需品である。
このようなアイテムが、本体の何倍もレアアイテムなのは残念なことだ。

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2010.02.27

Rollei SL2000F 撮影のための準備

ローライSL2000Fで久々に撮影しようってのに、生憎の天気である。

仕方が無いので、動作確認を行うことにした。

 - 注意事項! -
この日記の中に、改造を行うことが書かれているが、これは私の拙い知識で
なんとか使うための話をしているのであって、この方法が正しいかは不明である。
もし、この方法を参考に改造(というほどでもないが)を行うのであれば、それは
「自己責任において」行うことを忘れないで頂きたい。
もし、実施結果が失敗に終わったり、事故が発生したとしても一切の責任は
負わない。

Rollei10_20100227
 とりあえず本体とマガジンを分離。フィルム装填ではこの必要はない。

Rollei9_20100227
 レバーをメガネのようなマーク(たぶんロードされたフィルムの形)に合わせて、
 マガジンの中身を引き抜く。

Rollei5_20100227
 装填は結構面倒。フィルムは複雑に通っていく。

Rollei7_20100227
 上の金具の下を通すようにしないと、マガジンに戻すときにフィルムを痛める。

Rollei6_20100227
 巻き取りの方向に注意してフィルム先端部分を差し込む。
 間違えると抜けたり、途中でスタックしてかなり焦る。

結構難しいので、しばらくやっていないと装填が出来ず、イラっとする。
画像の説明のところに注意事項は書いたつもりだが、フィルム巻上げの軸は
マガジン上部にある赤ポチを押すと1コマ分フリーになるので、それを押して
回して確実に巻き上げるようにセットする。
これが途中で外れると、普通のカメラのように簡単にフィルムを取り出すことも
マガジンを抜き取れなくなる(途中でスタックすると)ので、注意が必要で
ある。

何度かトライして、フィルムを巻き上げるかを確認する。

Rollei1_20100227
 3003からはNi-Cdが固定で入っているマガジンになった。
 SL2000Fは自分で電池をセットする方式であった。

やはり、20年以上経過したNi-Cd電池はダメであった。
計測してみると、6Vは出ているのだが、アンペアが不足しているようである。
SL2000Fのバッテリーパックは自分で電池を装填する方式であった。
しかし、通常の単3電池(マンガン、またはアルカリ)では、アンペアが不足の
ため、もしレリーズできたとしてもせいぜい5枚くらいでスタックしてしまう。
よほどクレームが多かったのか、3003ではNi-Cd電池を固定で装填
したタイプに変わっていた。
そのこと自体は良いのだが、なにせNi-Cd電池である。
あっという間に劣化してしまう。
私はSL2000F用を持っていたのだが、ゆえあって(号泣)そのパックが無くなって
しまい、細々と3003用を使ってきた。
それが21世紀になって、ついに寿命を迎えたのである。
まあ、約26年も使えたのだから、大したものである。

しばし遠い目・・・・・・

このままでは撮影が出来ない。
クラカメを改造するのは私は嫌でもあるし、電気に詳しくない私としてはこの手の
改造は嫌いなのだが、仕方なく着手する。

Rollei2_20100227
 交換用のeneLoopのテスト(1個多くなってますが無視してください)

今時のことであるから、エコな電池を使う。
eneLoopならばNi-Cdの代用に十分なる。
テストの結果、問題なし。

Rollei3_20100227
 中は極めて単純

Ni-Cd電池を取り出す。
構造は極めて単純であった。
たぶん、SL2000Fの普通の電池を使うタイプをそのまま流用しているようだ。
リン青銅の板をカットして電池が繋がるようにしただけの安易な改造を完了。

Rollei4_20100227
 ごく普通にeneLoopが収まった状態

結局、なんということもなく改造を完了し、SL2000Fも3003も無事に動作。
これで撮影の準備は済んだ。
しつこいようだが、私はこの改造はお勧めしない。
参考にするのであれば、くれぐれも「自己責任」でやるように!

Rollei11_20100227
 右側が元々3003に付いていた古いもの。左の緑のものが新しいもの。

これで、古い方(黄色のNi-Cd)はeneLoopに変わった。
新しい方は10年くらいしか経過していないので、まだまだ使えるであろう。

Rollei12_20100227
 3003用クイックチャージャー(上面)

Rollei13_20100227
 3003用クイックチャージャー(下面) シーベルヘグナー扱いの品

あと数年でもう1個のバッテリーがeneLoop化されると、この大きくて旧型
のチャージャーも使命を終えることになる。
まあ、製造後30年以上も使われれば、この電気製品も本望ではないか。

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2010.02.25

「さんぴん」の意味

時代劇で、チンピラが下級武士に「このサンピンが何言ってやんで~」という
台詞を聞くことがある。
あのサンピンとは何だろう?
調べてみると「三一武士」のことなのだそうである。
もっとも下級の武士の給料が三両一人扶持だからなのだそうである。
ふむ、なるほど。

それは良いのだが、カメラにも「さんぴん」がある。
何かというと、それはローライSLシリーズのレンズの仕様なのである。
それでは、その意味を順に説明していく。

Pin1_20100225
 第一のピン。それは絞り込みのピンだ。

一番目のピンは、M42の自動絞りのピンである。
これは、SL35の時代からある。
M42のレンズではおなじみだ。

Pin2_20100225
 第二のピン。絞り値を伝えるもの(SL350,SL35E)

このピンは、開放測光が出来るようになった機種用に付いたピンで
ある。
これにより、レンズの絞り値が伝わる。

Pin3_20100225
 これがもっとも判りにくい「第3のピン」 開放値を伝えるピン
 (SL2000F、3003、3001)

これがもっとも判りにくい。
なぜなら、「ピンはレンズ側ではなく、ボディ側にある」からである。
では、レンズ側はどうなっているのか?

Pin4_20100225
 ボディ側ピンに情報を伝えるため、マウント部が掘り込まれている(左側)
 マウントアダプタ(右側)は掘り込みがない。

要するに、レンズ側のマウント部が掘り込まれることにより「全体でカム状態」
になっているのである。
では、f値でどれくらい違うのか?と実測してみると、
 F=1:1.4 0.5mm程度
 F=1:2.8 0.8mm程度
という結果であった。
それにしても、ずいぶんと微妙な寸法の違いで、重要な情報を伝えているもの
である。

最期に、「では、SL2000F(または3003)で1ピン仕様のレンズでAEをやると
どうなるのか?」という疑問である。

Pin5_20100225
 マウントアダプタ(1ピンと同等)を装着し、SL2000FをAEにした状態
 左側がシャッター速度、右側が絞り値。全部点灯しているのに注目!

結論から言うと上記のようになる。
2ピンのレンズをSL2000F、または3003、3001を使うと右側が点灯しっぱなし
になる・・・と聞いてはいるのだが、私はまだ2ピンのレンズが無いので検証
出来ていない。
それはいずれ解決するとして、1ピンをSL2000FでうっかりAE設定すると
この画像のようになってしまう。
さらに、間違ってレリーズすると、シャッターが開きっぱなしになり、当然ミラーも
上がりぱなしだ。
これを解消するには、メインスイッチをオフ(○印)にすれば良い。

このような注意も必要なのである。
まあ、判ってしまえばどうということもない。

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2010.02.20

古いものには縁がある(2)

シュタインハイル社 カスカII型の話の続きである。

Casca7_20100220
 レンズのカムの繰り出しを検知する部分(距離計)

レンズを外して距離計カムの連動部分を見る。
なんとも独特な形状である。
太い棒の先に靴があるような形だ。
一応、問題はない(材質、形状)ようだが、少しだけ磨耗が心配だ。
また、この形式では外部から距離計の微調整は出来ない。

Casca10_20100220_2
 ボディを上から見たところ

巻き上げは普通にダイアルである。
カウンタは試行錯誤した結果、加算側に爪で押して回してセットするようだが、
少し疑問がないでもない。
どのダイアルも背が低いので巻き上げは少しやりにくく、カウンタもセットが
やりにくい。

Casca11_20100220
 カスカのもっとも特徴的な部分。シャッター速度設定はスライド式

自分で使ってみてこのスライド式の謎が解けた。
ライカなどの場合、シャッターのスロー側は全開速度(1/20や1/50など)で
後幕が走り出したときにガンギを叩くことで速度を落としている。
そのため、1/15~1/8と1/4~1/1がガンギの叩く方向が違うので、
速度の間が開いてしまう。
カスカII型のこのスライドを赤文字側(1/25~)に操作していくと、1/50を
過ぎたところでコン!と少し抵抗がある。
そう、機械式カメラにちょっと堪能な方ならお気づきのはずだ。
「あ、これはアルパと同じガバナーをセットするタイプだ!」
1操作で不回転式シャッター設定で、かつガバナーを使う形式にする
ためのスライド式なのである。
ガバナーを押してセットするためには、ある程度の操作量と力が必要
なのである。
=>アルパの操作を思い出してもらえば判るはず
このスライド式なら、意外に単純(外観が)な操作系が出来る。

う~ん、シュタインハイル社、賢い!

ということは、同じカスカでもI型は1/25がベース速度のはずである。
(スロー機構がないから)
ああ、現物を購入して確認したいものだ(遠い目)

それはともかく、上記の構造だとするならば、もう製造後60年以上が経過
しているカスカII型のシャッター速度(低速側)はかなり慎重に操作しなくて
は壊れる可能性がある。
これからは注意して使うことにしよう。

Casca17_20100220
 大きさの比較、右側のライカIIIfは私の初めてのライカだ

実際に使う前に大きさの比較。
CASCA II型は小山のような大きさである。
重量は以下の通り。
 Leica IIIf(エルマー付き) 547g
 CASCA II型         772g
200g以上重いのだが、手に取った感じはライカの方がずっしりした感じだ。

Casca13_20100220
 困ったことに、普通の釣管が使えない!

さて、実際の撮影を・・・ということでストラップをつけようとすると困った
ことになった。
独特な耳の形状と穴が小さいことで、普通の釣管が使えないのだ。
結局、模型や電気の配線で使う銅線を巻いて対応した。
(かなり心細いのでお勧めはしない)

さて、いよいよ実際の撮影結果である。
レンズはCulminar50F2.8が装着されている。

Casca18_20100220
 Culuminar50F2.8 絞り開放(ネガをスキャン)

Casca19_20100220
 Culuminar50F2.8 絞り開放(ネガをスキャン) 後ボケに注意

Leica M9でQuinon50F2を使った感触と比較して、ネガ+CASCA IIボディで
撮影した結果は、背景のボケが結構暴れる感じである。
しかし、シャープネスは十分だ。

Casca20_20100220
 F=1:4 1/1000 しっかりと最高速シャッターも使えた

絞るとボケ味はなだらかになる。
シャープネスも良い感じである。

Casca21_20100220
 F=1:8 1/250

絞り込んでいくと本当に良い感じだ。
まあ、当たり前といえば当たり前だが。

実際に使っていて感じたことは以下の通りだ。
・背の低いダイヤルによる操作は厳しいものがある。
 =>特に巻き戻しは親指が疲れた
・3mより近接で使うと、ファインダーはかなり当てにならなくなる。
 =>これはライカ、コンタックスも同じか?
・シャッター音は極めて静か、レリーズ感も滑らかで気持ちが良い。
全体的には、あとちょっと煮詰めれば本当に良いカメラで、十分に高級機で
あるとうものである。

クラシックカメラはほんとうに面白い。
こうやってあれこれと確認し、実際に操作して写真の写りまで楽しめるのだ。

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古いものには縁がある(1)

古いものというのは面白い。
なにか一つきっかけがあると、それまでは遠い存在であったものが、次々と
自分の回りに集まってくることがあるのだ。

少し前の日記に、シュタインハイルのレンズの話をUPした。
Quinon50F2(L)である。
このレンズの面白いところは、ZeissのContax、ライツのLeicaのように立派
な標準レンズを持っているメーカーがあるのに、シュタインハイルは何故
標準レンズを単体で売る機になったのか?という疑問を書いた。

その後、書籍やネットを調べていると、どうやらこのレンズはシュタインハイル
がちょっと作って止めたカスカ用であることが判った。
そうなると「果たしてカスカはQuinon50F2を使うのにふさわしいカメラ
なのか?」という疑問を検証したくなった。
しかし、カスカはI型もII型も極めてレアな存在だ。
実地検証はそれほど簡単ではない。

そんなときに、松屋のカメラ市(2/17より開催)である。
どうせまた買うものは無いだろう・・・と夜になって立ち寄ってみた。

Casca9_20100220
 天の采配か?ついにカスカII型がやってきた

ご覧の通りである。
なぜか、私にも買える値段で出ていた(それでもかなりムリしているが)
これで、現物のカメラをじっくりと検証できることになった。
夢のようである。

ということで、まずは細かいチェックを行う。

Casca1_20100220
 CASCAII型のファインダー(iPhoneで撮影し、フォトショで現物の調子を再現)

Casca2_20100220
 M2(99万台)のファインダー、撮影方法は上記と同じ

まずは暗いと言われているファインダーである。
M2と比較してもほとんど差はない。
赤いブライトフレームはクッキリと浮き上がって見える。
50mmは枠がない、パララックス補正はなし、というのは世に言われている
通りである。

Casca12_20100220
 丸いのが距離計窓、色は付いていない

ネット上でも書籍でも「距離計窓には赤い色が付いている」と書かれている。
しかし、私のものには色は付いていない。
これが修理によりそうなったのか、元々そうなのか?は判らない。

Casca6_20100220
 ユニークなボールベアリングを使ったバヨネットマウント

Casca8_20100220
 私のCASCAには、レンズ取り付け指標の赤マークがある

これもネット上や書籍では「取り付けマークがなくて判りにくい」となっているのだが
私のCASCAには赤ポチマークがある。
これも個体差なのだろうか。
それはともかく、脱着操作を行ってみると、案外使い易い。

Casca3_20100220
 フィルム巻上げ側、スプールが脱着できるのだが・・・

Casca4_20100220_2
 バネ連動の押さえによって、スプールは固定される

どこかで見たのだが「マガジン対応をしている」と書いてあったが、私の見た
感じでは、CASACのスプール脱着機構は「こうしないとフィルムが入れにくい」
というだけだと思われる。
そもそも、もしもマガジン対応するのならば下側にロック開閉の機構が無くて
はいけないはずである。

Casca15_20100220
 ボディ下側の開閉部分。これではマガジンのロック開閉の組み込みは無理

ライカ、コンタックス、ニコンのS型にF、F2を見てもらえば判る。
この機構は、CASCAのように下半分が割れて開閉するしくみでは、このロック
開閉機構が組み込めないのだ。

Casca5_20100220
 撮影をするため実際にフィルムを装填。これがかなりイラっとする

撮影のため、フィルムを入れてみる。
Contaxのリールと異なり、フィルムが差し込みにくい。
上記の機構でスプールを外してフィルムを差し込むのだが、これまた固定が
甘くて抜けてしまうことが多い。
さらに、ボディ側の勘合部分の形が今ひとつなので、スプールがなかなか
入らない。
まあ、こういうことはさらに量産が進んでいれば、きっと改善されたことだと
思われるので、欠点というほどのことではない。

Casca16_20100220
 1940年代で裏蓋開閉ができるカメラの代表?カスカII(手前)とエクトラ(奥)

ところで、CASCAの裏蓋は上側に開く。
フィルム装填がやりやすい・・・かどうか?
KODAK Ektraは下側に開く。
これはカメラを普通の形で持ってフィルム装填をした場合に大変やりやすい。
エクトラのフィルム装填は他の部分も優れていて、私は自分で巻き上げて装填
する形のものとしては、現代のカメラを含めてトップレベルだと思う。
それに比べて、CASCAのものは上に開く。
これがフィルム装填中にガツン!と下がってきて手を挟むのだ。
案外しっかりしたダイキャストの蓋が、ガチガチ指に当たるとこれがなんとも
イラっとするのだ。
これもまあ、欠陥というほどではなく、慣れの問題かもしれない。

こういうことは、他の同系機と比較すると面白い。
カメラのように、実際に所有して操作を楽しめる趣味の醍醐味である。
こういうところは、鉄道模型と似ていると思う。
そう、鉄道は所有して遊べないが、鉄道模型は所有してとことん遊べるのだ。

                        この話、続く

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2010.02.14

試行錯誤

機械というものは難しい。
図面のうえでの数値だけを信用して作ると、うまくいかないことが多い。
そのことは、私のような個人だけでなく、日本を代表する某大手企業が国際的
に迷惑をかけていることからもハッキリしている。

14:20の吊掛モーターについて、風邪でダウンしながらもどうにか必要な数を
揃えることが出来たはずであった。

Thu2_20100211
 ブリルMCBに組み込んだ14:20の吊掛モーター

台車に組み込み、実際に負荷をかけてテストを行う段階になった。
14:20のギア比により、日光モデルのブリルMCB(軸距24.5mm)にも組み込みが
可能になった。

Thu3_20100211
 テスト台枠で負荷試験を実施中

しかし・・・
動かしてみると、片っ端から壊れていく。
問題なのはモーター側のピニオンが抜けてしまうことである。
外れたものを、ロックタイトで止めて、また壊れて・・・を繰り返す。
結局、数時間かかって全部のモーターのピニオンを抜き差しした。
これは「今のままではダメだ」ということである。
作業を中断し、対策を検討する。

Thu5_20100211
 累々と修理を行う吊掛モーター。14:40のタイプも2軸ピニオン抜け

14:20(モジュール0.3)の組み合わせでは、軸間が5.75mmである。
ということは、軸が3.0φ、モーターの外形が8mm(短い方)なので、理屈では
5.5mmとなるので余裕でいくはずであった。
しかし、さんざんピニオン抜けを経験した結果、ギアのかみ合わせが微妙に
甘いため、負荷をかけるとギアが噛んでしまい、そのためにピニオンが抜けて
しまうことが判った。

Sat2_20100213
 モーターのケーシングを0.2mm程度掘り込み

考えた末に、モーターのケーシングを掘り込むことにした。
これも地味にテストを行った結果、0.2mmほど掘り込むことが必要であった。
単純に数値(上記参照)を考えると矛盾である。
こういうことは、実地の経験が無ければ出て来ないノウハウだ。
それと併せて、ピニオンもハンダ付けに変更した。
以前の0.8tのピニオンでは、ハンダを回そうとするとあぶり過ぎてメタルに張り
付いてしまったりしたが、間にアルミ箔を入れたり、0.5tと薄くなったギアなので
あまりハンダコテであぶらなくてもハンダが回る・・などの検証のおかげで
この変更が可能になった。
このようなことも、経験が無ければ出来ないことだ。

何事も「実地の経験」が重要なのである。

Thu4_20100211
 ようやく「本命?」の路面電車用吊掛モーター搭載実験開始

色々と苦労があったが、ようやく負荷テスト用を4個、路面電車用を2個用意
出来た。

色々と考えたが、この14:20の組み合わせはちょっとムリが多いと思われる。
かなりグッタリ・・である。

Thu6_20100211
 右が14:20、左が14:24.この画像からは「大丈夫」に見えるのだが

14:24に組み合わせを切り替えようと思っているのだが、路面電車用の小さな
車輪である8.5φのクリアランスがどうか?を検証しなくてはいけない。

それにしても、この3ケ月は吊掛モーターのあれこればっかりである。
そろそろ車両工作がしたい。

Sun2_20100214
 このような小型地鉄車両を作るのが最終目的なのだが・・

この車両は、1/87の乗工社の東急デハ6を16番の小型地鉄風にしたもので
ある。
すでにもう1両同様の仕様にするために購入してある。
このような車両を、吊掛モーターで動力化できる!と思うと少しヤル気が
出て来るというものである。

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2010.02.07

M9でHologon16F8(実写編)

さて、Hologon16F8の実写編である。

まずは結論からいこう。
M9とM8の撮影結果の比較だ。

Holo9_20100207
 M8+Hologon16F8(絞り開放(笑)) 写りは「普通の広角」という感じ

Holo10_20100207
 M8+Hologon16F8 いい感じの写り。しかし「普通の広角」である

Holo7_20100207
 M9+Hologon16F8 この周辺のマゼンダ被りは・・

Holo11_20100207
 M9+Hologon16F8 どうやら「中央と比較して、極端に暗い、または明るい」
 とマゼンダ被りするようだ。

上2枚の画像を比較するとはっきりする。
M9でHologonを使うと、Super-Angulon21F3.4以上に周辺がマゼンダ被りする。
まあ、当然予想されることではあるのだが、M8がx1.33の画角であることを
考慮したにしても、このマゼンダ被りは極端すぎるのではないだろうか?
そういう意味では、M8が「急いで発売したので荒削りなところがある」と思って
いたのだが、画像だけ見ると「M9はまだまだファームや画像エンジンについて
見直しが必要なのではないか?」という疑問が湧いてくる。

とまあ、結論が出てしまったような感じもあるが、このまま「M9による超広角
レンズのダイナミズム」を味わうのを捨ててしまうのは惜しい。
こういうときに「悪あがき」をするのが私の取り得だ。
あれこれと試してみると「中央部分と比較して、周辺が極端に明るい、または
暗いとマゼンダ被りする」ということは経験的に判ってきた。
(注:私は画像のプロではない。あくまで経験上での話しである)

ならば「そうならない被写体を探せば良い」のである。

Holo12_20100207
 完全に日陰。これならばまあまあ問題なし。

Holo13_20100207
 ビルの谷間。これもまあまあいける。超広角のダイナミズムも堪能できる。

昼間なら、この手の撮影で結構楽しめる。

Holo14_20100207

Holo15_20100207

Holo16_20100207

Holo17_20100207
 夜景。これならば明るいも暗いもない。ただし、光源の色がときどきマゼンダ
 被りすることもあるが、夜景ならば気にならない(笑)

さすがはデジタルのM9である。
Hologon16F8のような暗いレンズであっても、ISO感度設定で色々なシチュエーション
に対応可能だ。
夜景ならば、中央と周辺の極端な明るさの差は発生しない。
点光源の色がたまにマゼンダ被りしても、ほとんど気にならない。
むしろ、M9のおかげで「超広角レンズを手持ちで夜景撮影に使える」という
面白さは、やってみるとかなりクセになる。

最期にAE加工してから、日中のかなり明るいときにM9で撮影。

Holo20_20100207
 ここまで来ると「特殊効果?」といいたくなる、芸術的なマゼンダ被り

なにかこう、犬(チョコ君)がオーラを発しているような感じである。
もう、なんともしようがない脱力感・・・

使い方の工夫でなんとかするにしても、M9の画像エンジンの対応で
超広角レンズ(Hologonはともかく、Super-Angulonは自社ブランド品)
の対応はやってもらいたいものである。

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M9でHologon16F8(ハード編)

私の手元には、超広角レンズが1本しかなかった。
Super-Elmar15F3.5である。
このレンズは、はっきり言って素晴らしい。
写りもよく、しかもレンズ自身を眺めていても「いい~仕事してますね~」と
うっとりできる。
しかし、こんなレンズにも欠点はある。

そう「でかくて重い」ことである。
このレンズで撮影をして歩くには、それ相応の覚悟がなくてはならない。

Holo1_20100207
 きしくも「同じZeiss生まれ」のレンズが2本揃った

M9やM8で撮影をして歩くのに、M-Rアダプタを使って、このレンズを
使うのはあまりに辛い。
そうなると「もう一つの道」として、Hologonへの妄想が膨らむ。
聞いた話で恐縮(試してみたいが所有していない)だが、15F8の方は
M8には装着不能とのことである。
では、CONTAX Gシリーズ用のHologon16F8はどうなのだろうか?
既にヤシコンのHPは消滅しているので、そちらを確認することは出来ない
が、英語版の資料は残っていたので、ウィキペディア経由で確認してみると
G用のホロゴンはフランジバック29mm(つまりはライカと同じ)で設計されて
いるので、大丈夫なようである。

しかし「大丈夫なようだ」では、なんともはや頼りない。
ライカM型は「エルマーの沈胴時のクリアランスは保障」と言われている。
ということは、Elmar50F3.5、Super-Angulon21F3.4と比較してみれば
はっきりするではないか!
(注:こんな簡単なことを、やった人をあまり聞かないのは何故だろうか?)

Holo2_20100207_2
 左からElmar50F3.5(L)、Hologon16F8、Super-Angulon21F3.4

並べてみると、Hologon16F8が気持ち長いように見えるが、総じて2cm
くらいの出っ張りのようである。

では、実際に装着してみるとどうなるのか?
さすがにM8やM9では確認できない(笑)ので、M3に装着して比較して
みることにする。

Holo3_20100207
 Elmar50F3.5の沈胴時 かなりギリギリである。

Holo4_20100207
 Super-Angulon21F3.4 ますますギリギリにみえる。

Holo5_20100207
 一番出っ張っていたように見えるHologon16F8
 後玉が小さいからか、上2本より余裕に見える。

結局、「M3で見るかぎりは大丈夫」なようである。
ここで「では、なぜにSuper-Angulon21F4はM8とM9に装着できないのか?」
という疑問が湧いてくるが、所有していないので確認できないし、今回の趣旨
から外れるので今回は試さない。

結局、同じHologonとう名称であっても、15mm=>16mmになることによって
クリアランスが取れるようになったということか。
そういえば、Hologonでは必ずネタになる「カメラを普通に保持すると指が写る」
は、私が撮影する限りではHologon16F8では発生しなかった。

噂や伝説に迷わされてはいけない。
現物があるのなら、きちんと計測や確認をしてから、そういうことは語るべきで
ある。

Holo6_20100207
 私にしては珍しくレンズ側を加工。これでAE対応できる。

ネットであれこれと調べた結果、なぜかM9についてには「使えない」とか「ダメ」
という話しかなく「ならばどうダメなのか?」をしっかりと報告したものがない。
まったく「ダメならダメ、気に入らないならその理由をなぜにUPしない」という
不満を感じる。
それはともかく、この「AE対応加工」は役に立った。
一応、このレンズが正常か?を確認してから、この工作を行った。
ドレメルで削ってみたところ、このHologonの鏡筒部の材質は快削真鍮である
ことが判った。
切削加工がやりやすい素材で、各種の工業製品に使われている。
しかし、あのZeissがこの材料を使うのか・・・と思うと、G用として製造された
時点で「Zeissも変わったのだな」と思うと、時の流れを感じるのであった。

それはともかく、私はこの切削加工をやってみたが、基本的にはこの工作は
お勧めしない。
この画像を見てもらって判る通り、大量に切削金属粉が出るのだが、このよう
にしっかりとマスキングしても、実際はかなりの部分に細かいクズが入り
込んでしまい、取り除くのが大変であった。
私は鉄道模型の工作で慣れているから良いが、あまり金属加工の経験がない
方はやらない方が良い。
もしやったとしても「自己責任」であることを忘れてはいけない。

ということで、次のUPで実際の写りを検証する。

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2010.02.06

英国のレンズが使ってみたかった!

Leica M9が来て3ケ月ほどが過ぎた。

日本とドイツのレンズが使ったが、こうなると「他の国のレンズはどうなんだ?」と
いう気持ちになってくる。

そんなおり、このようなものを入手することが出来た。

Sat1_20100206
 DALLMEYERの引き伸ばし用レンズ、2inch F3.5(らしい)

ダルメイヤーの引き伸ばし機用のレンズである。
2inchであるから、おそらくライカ用の50mm(51.5mm)と同じであろう。
ケースも外観もかなりカッチリとしていて高級感?がある。

Sat2_20100206
 Sマウントの50mm用のマウント部を作成

ほんとうは、このレンズに合わせてL39のヘリコイド素材を入手したかった
のが出来なかった。
仕方ないので、Sマウントの50mmのマウント部を作って取り付けた。
意外に面倒であった。
なんだかんだと調整を行い、インフを出した。

Sat4_20100206
 絞り開放、解像度は今ひとつだか妙に色ノリが良い

まずは無限通が出ているかどうか?である。
Lumix G1でも見てみたし、M9での撮影結果も見たが「たぶんこれで
無限遠なんだろうな」という感じだ。
解像度が低いというより、どうも明るい場面があると盛大にハレーション
が発生するようだ。

Sat6_20100206
 寒い中、チョコ君を撮影。ボケ味はクセが無い感じ

日陰でのポートレートではまあまあである。

結局「これがダルメイヤーの味」というほどではなかった。
まあ、そんなに良いレンズなら、とっくに誰かが改造しているはずだ(笑)

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