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2010.03.06

KODAK EKTRAの話(2)

KODAK EKTRAの話の続きである。

Ektra2_20100306
 EKTRAのマガジンを外したところ。こんな単純なことにスリルが存在する。

エクトラ関係の話で必ず出るのが「マガジン交換機ではあるが、それをやると
調子が悪くなるのでやらない方が良い」というものである。
結論から言ってしまうと「それは正しい」のである。

しかし、実体はそのように単純ではない。

エクトラは微妙なことで調子が狂うことがある。
実はこれからお話する構造上の問題があるからなのだが、その不調の原因
を解決するためには、マガジンを外さないと話が始らないのである。
考えてみると「マガジン交換式のカメラ」なのであるから、それは当然のこと
ではあるのだが、製造後70年近くを経過したクラシックカメラに、このような
アキレス腱が存在することが、21世紀のメカ好きを悩ませることになるとは
当時の設計者は考えもしなかったことだろう。

さて、ここから筆者の10数年に及ぶエクトラ経験によるマガジン脱着の手順
とトラブル事例の話をする。
参考にしてもらっても良いのだが、この話は「あくまで筆者の経験と知識」
であり、これがメーカーや権威者(誰だ?)の技術情報ではないということ
を良く理解して欲しい。
ここに出て来ることを、どのように生かすのか?は読んだ方の自己責任に
よることを理解しておいて欲しい。

長い前置きはこれくらいにして、マガジン脱着の手順に入る。

Ektra3_20100306
 外したマガジンと本体の関係。勘合部のスリットが平行になっていること
 に注意!

上がマガジン、下が本体である。
勘合部分はマガジンが凸、本体側が凹である。
本体側のギアは、このまま上部にある制御機構に繋がっている。
制御をするのであるから、カッチリとしていそうなものであるが、この状態では
フリーになっており簡単に動いてしまう。
後で話しをするが、エクトラはマガジン脱着を可能にするため、あちこちに
ラチェット機構がある。
この部分もそうなのであるが、ラチェットであるから「片方には回らないし、片方
には楽に回る」のである。
そう、巻き上げ側には平気で動いてしまうのだ。
マガジン側は一応はロックがかかっている(これも後述)
カンの良い人は判ると思うが、安易にマガジンを外してしまうと、ここがちょっと
動いてしまうだけでも元に戻せないし、ヘタをすると壊してしまうのだ。

ここまでお話すればもう判るであろう。
エクトラのマガジンの脱着は「この勘合部分の平行をキッチリと守って外して
また戻せばよい」のである。
文字にすると簡単だが、実践がなんと難しい内容であることか。

マガジンを外す場合は、シャッターはチャージされていない状態が良い。
やってみると、どちらの状態でも脱着は可能なのであるが、前述のように
本体側にシャッターのテンションがかかった状態になっている場合、あまり
調子の良くない(整備状態の悪い)エクトラは、この勘合部分が微妙に
傾いていたり、軽い振動でレリーズしてしまったり・・とさんざんなのである。
まして、脱着中にレリーズしてしまったら・・これは大変な事態だ。

Ektra4_20100306
 シャッターがチャージ状態。速度は1/100に設定されている。
 フィルムカウンタしたの小窓がチャージの表示(チャージ済:黒)

これがシャッターチャージが完了している状態である。
シャッター速度は1/100、チャージ表示が黒になっている。
この表示ははっきり言って判りにくい。
ハッセルのように、白と赤にすれば良かったのに・・とは誰もが思うことで
あろう(今更言っても仕方がないのだが)
シャッター速度がかなり重要な判断基準にもなるのだが、困ったことに
1/25にしているときには判断しようがない(笑)
こういうところも、トラップが仕込まれているのである。

Ektra5_20100306
 シャッターを切った状態。シャッター速度は1/25.チャージ表示は赤。

この状態がシャッターを切った(リリースした)状態である。
シャッター速度は、どの速度域(1/25~1/1000)でも1/25になる。
これがまたエクトラの機構的面白さなのだが、今回はそれには言及しない。
この状態であることを確認して、次の手順に入る。

Ektra6_20100306
 マガジン下部分のスライダーをUNLOCKに動かす。

次はマガジン下部分のスラーダーをUNLOCK側にスライドさせる。
この動作により、マガジンの本体側に金属の薄い幕が出てカバーされると
同時に、内部にある金属ブロックが押されて巻き止めがかかる。
この構造は、10数年前に幸運にも「水没エクトラ」を廉価に入手して、本体
とマガジンを分解して内部機構を調査した結果判ったことだ。
ところで、この巻き止め機構なのだが、実体験と調査の結果、案外ロック
が緩くて巻きがかかってしまうことがあるのだ。
そうなると、上述した勘合部分に矛盾が生じることになる。
ここもまたトラップである。

長くなったので、続きはこの次のUPで述べる。

Ektra1_20100306
KODAK EKTRA Ektar35F3.3 F=1:8 ネガフィルムをスキャン

エクターの描写で好きなのは「青い空が蒼く写る」ことである。
この魅力のために、苦難の道を10数年なのである。
この写りを見ると、エクトラ維持の苦労がかなり癒される。

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