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2010.03.07

KODAK EKTRAの話(3)

カスカII型で面白いことがあったりしたが、エクトラのマガジンねたの続き
である。

しつこいようだが、この日記を読んだ方がどのようなアクションを起こしても、
それは「自己責任で行うものであり、筆者は一切の責任を負わない」ということを
理解して欲しい。

Ektra7_20100306
 いよいよマガジンを外す。ボディ正面の2個のネジを回す。

ここまででもかなりの説明と確認をした。
前日記を読んだ人の大半は、きっとその段階でエクトラのマガジンを外すことを
止めるに違いない。
それをも克服した根性のある人は、ボディ両側にあるネジを同じように回して
いよいよマガジンを外す。
両側を同じように!を強調するのは、以下のような理由がある。
・片方ずつ回すと、ボディとマガジンが微妙に傾いたり、ガタが出てしまう
 ことにより、前述の勘合部分の角度が狂ってしまうことがある。
・同じように回すということは、マガジンをボディと平行に後ろを抜くことが
 できるのである。
 平行に抜くということは、軽く後ろに引いたときに「あ!これはマガジンが
 外れない!(大汗)」となったときに、脱着を断念して元に戻すことが
 できる可能性が高いのである。
 戻すことも出来なくなれば、それはもう最悪である。
ネジが完全に外れたところで、静かにマガジンを後ろに抜く。

Ektra13_20100306
 無事にマガジンを外したところ。ここまででかなり精神的疲労が・・

何もトラブルがなければ、このようにマガジンが外れる。
考えてみると、他の「ひょっとして勘合部分の調子が合わないかもしれない」
マガジンと交換することは、100害あって1利なしなのだ。
要するに、エクトラのマガジン脱着は「儀式の伝承」のようなものである。

そう「オレはエクトラを使っているんだ!(汗)」という満足感だ。
確かに、こういうカメラを所有しているのであるから、こういう「一種の恍惚感」
は重要ではある。
ただし、リスクは大きい。
私のように、定期的にチェックや整備が必要な個体を所有していない限りは
お正月に行う儀式として継承するくらいが無難だと思う。

装着はこの逆をやるだけである。
何もトラブルがなければ・・元に戻る。
さて、いよいよ「トラブル事例」である。

Ektra8_20100306
 装着してみると、なんと巻き上げが出来ない!原因は勘合部分の傾き。

今回の一連の動作を撮影し、さて・・とマガジンを戻してみたら巻き上げ
が出来ない。
私の場合、さすがに17年も使っている(遠い目)なので、すかさず「これは
いかん!(汗)」と気が付き、だましだましマガジンを外した。
実は、このような状況になると、通常はマガジンは外せないし、ちょっとでも
固く引っかかっているようならば、マガジン下部を分解して外すことを
お勧めする(もっとも、奨められても・・どいう人は多いだろうが)
外してみると、このように勘合部分が傾いていた。
こういうときの対処としては、本体側の勘合部分を回してシャッターをチャージ
し、レリーズして正しい位置に戻すことになる。
正しい回転方向はラチェットがきちんと作動(軽く回る側)であり、間違っても
反対に回してはいけない。

私がこのときに行った作業の失敗は、以下の通りだ。
本来の装着手順:
 ・マガジンをはめてネジを「マガジンが動かない程度」に固定。
 ・ロックのスライドをUNLOCKにスライドする。
 ・さらにマガジンのガタがないかを確認し、ネジを回す。
今回の失敗した手順:
 ・マガジンを装着してネジをカッチリとするまで回す。
 ・あれ?固いぞ・・と思いつつUNLOCKにスライド。
微妙なことだが、こんな些細なことでEKTRAがきちんと動くか、動作不能に
なり、最終的には故障(破壊?)となってしまうのである。
エクトラを使う限り、多少のトラブルは発生する。
そうしたときの対処に慣れて、正しいアクションを学んでいくことがクラカメの
楽しさでもある。

さて、なぜこのようなトラブルが発生するのか?
それはKODAK EKTRAの機構に原因がある。

Ektra9_20100306
 35mm版のマガジン交換機 Rollei SL2000Fのマガジンの勘合部分

同じマガジン交換式のローライSL2000Fの勘合部分である。
マガジンを脱着する際には、マガジンは複雑な動きをして本体勘合部分から
スライドして外れる。
そして、本体側も勘合部分はバネで上下し、柔軟に合わさるようになっている。
ちょっと機械的知識がある人ならば「軸を接続して回す場合は、きっちりと精度
を出してガッチリ固定するか、ルーズな接続を許すための緩衝機構を入れる」
と考えるべきである。
そればエクトラにはないのである。

では、勘合部分の不整合によってどこが具体的にダメージを受けるのか?

Ektra11_20100306
 本体側のフィルム巻取り部のギアを外したところ。勘合部分のラチェットの
 部品(黒いものと細い線バネ)が見えるだろうか?

エクトラは、マガジン交換を可能にするためか?各部に多くのラチェットを使用
している。
その中で、もっとも破損しやすいのは、当然もっとも力がかかり、かつマガジンの
脱着により衝撃を受けるこの部分のラチェットである。
シャッターの不調、マガジン脱着時の衝撃・・・などにより、ラチェットがズレて
角度が変わってしまうくらいなら「ちょっと冷っとする」くらいで済むが、この細い
バネ(がかなり頼りなくラチェットを押している)が外れたり、最悪はラチェットの
金具の先端(かなり尖っている)が欠けてしまい、ラチェット機構そのものが
作動しなくなってしまうことがあるのだ。

Ektra10_20100306
 エクトラのラチェットの中で、大きくて判りやすいのが巻き上げ部分のもの

マガジン後部のレバーと連結されているラチェットが最も判り易いので
画像をUPしておく。
(くれぐれも「見て見たいから」と分解はしないように!)
機構としては妥当ではあるものの、強度的に不安な作りでそれを実現している
ところが、コダック エクトラの危ういところなのである。

とはいえ、構造を理解して、壊すようなことを避けて使えば良いだけのことである
から、ネガティブに考える必要はない。
今時購入できるエクトラは、なんらかの整備はされているであろうし、壊れたら
修理してくれるところもある(修理代は本体価格を越えるにしても)ので、積極的
に撮影に供することは可能であるとは思う。

Ektra12_20100306
Ektar90F3.5 F=1:8 ネガをスキャン

90mmを使った例である。
残念なことに、このときは空が微妙にガスっていたので、蒼くならなかった。
いずれ、ポジで再トライしたいものだ。

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