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2010年6月

2010.06.29

全てはここから始った!

別に思い出話をするのではない。
人間、なにかをやるときには「そのときには考えもしなかったことがきっかけに
なる」という話である。

Suondef53_20100629
 私の模型日誌。 2006.8.11からそれは始った。

模型日誌によると、2006.8.11にFABにてEF58用のサウンドデコーダを入手した。
そのときに種車にしたのは、友人から極めて廉価に譲ってもらった珊瑚の古い
完成品のEF53であった。

そう「デコーダを搭載すれば、ほら!サウンド!」というもくろみであった。

もちろん、そのように簡単には行かなかった。
ここで書くと長くなるので、詳細は私のHPのデジタルコントロールを参照して
欲しい。
http://homepage2.nifty.com/M-ROMEN/

2006.8.13の日誌には、このようなことが書いてある。
 ・モーター音が大きくて音がぜんぜん聞こえない
 ・連続運転をすると音が出なくなる
 ・汽笛の連続の音が出ない(ピッといって終わってしまう)
 ・動いたり止まったりを繰り返す
ここで誤解しないように注釈しておくと、ここで起こったことはデコーダの
不良ではない。
全てはアナログコントロールとデジタルの差の無理解によって起こった現象
なのである。
そういう意味では、電気ちんぷんかんぷんの私には、必要な試練であった
のである。

なんだかんだと追求の挙句、スピーカーの種類、エンクロージャーもとことん
研究した。
サウンドDCCについても、DigitraxのSFX004用のサウンドの研究もした。
そして「動力がダメなら新しいものを作ってやる!」と執念に燃え、ありとあら
ゆる組み合わせで動力を作った。
方式についても、サイドワインダー式、1軸1モータ式、さらに進んで本格的
な吊掛モーターの開発に到るのである。
そして、このEF53がどうにかサウンド対応したか?という状態になったのは、
実に2007.6.3である。
(注:しかし、「まだ音が小さい」と書いてはあるが)

全てはここから始ったのだ(強烈に遠い目)

ということで、動力装置の話はまだまだ続く。

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2010.06.28

タンバール

先日、M9+Thambar90F2.2で近所のあじさい寺を撮影した。
ここの山手にある墓地に父は眠っている。
まあ、墓参り(掃除ともいう)に行くと「ああ、あじさいが綺麗だな」と思うのだが
週末は車で行っても用事があるので撮影をなかなか出来なかった。

ということで、ようやく撮影を実施。
銀塩はブロニカD、デジタルはM9という陣容。
レンズはNoctilux50F1.2とThambar90F2.2を選択した。

いずれも絞り開放で撮影。
まあ、私らしいのである。

Thambar1_20100628
 このカットだけが蓮。やはり白がデジタルでは出ない。

Thambar2_20100628

Thambar3_20100628_2

Thambar4_20100628

Thambar5_20100628

Thambar6_20100628

Thambar7_20100628

こうやって撮影していると、タンバールというレンズは、画像というか
写りが意外に芯のある写りをするので、いわゆる「世間でいうソフト
フォーカスレンズ」とは違ったものになる。
それだけにちょっと使い方が難しいかもしれないが、使ってみると面白い。

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2010.06.27

Leica R8で撮影

鉄道模型以外のネタは続く。

Rollei3003で撮影をしたときに、Leica R8による撮影も行った。
特に、ElmaritR28F2.8(2世代目)も購入したばかりであったので、その試写
も兼ねていた。

R8eno1_20100627
 考えてみると、濃い2台を使っての撮影であった。

R8eno2_20100627
 ElmaritR28F2.8 F=1:5.6 1/500

R8eno3_20100627
 ElmaritR28F2.8 F=1:5.6 1/500

R8eno4_20100627
 ElmaritR28F2.8 F=1:4 1/250

今回の撮影はRollei3003といっしょの撮影であったので、R8による撮影
に集中できなかったため、やや不満なカットも多い。
また、天気もすぐに曇天になってしまい、光線の具合も悪い(3枚目のカット)
それはともかく、ErmaritR28F2.8は良く写るレンズだと実感した。

R8eno5_20100627
 SummicronR50F2 F=4 1/250

R8eno6_20100627
 SummicronR50F2 F=4 1/250

R8eno7_20100627
 SummicronR50F2 絞り開放 1/250

ErmaritR28F2.8を良く使ったので、SummicronR50F2.8はやや霞み気味。
天気が悪くなってからのカットなので、発色が今ひとつの感もある。
ここ数年、どうも天候が安定しないものだ・・・を実感。
こういう状況は、銀塩を使っての撮影には厳しい。

R8eno8_20100627
 稲村ケ崎の踏切横で休憩中

R8eno9_20100627
 ApoMacro ElmaritR 100F2.8 F=1:5.6 1/1000

R8eno10_20100627_2
 ApoMacro ElmaritR 100F2.8 F=1:4 1/250

R8eno11_20100627
 ApoMacro ElmaritR 100F2.8 F=1:4 1/250

R8eno12_20100627
 ApoMacro ElmaritR 100F2.8 絞り開放 1/125

R8eno13_20100627
 ApoMacro ElmaritR 100F2.8 絞り開放 1/125

このレンズ、ほんとうに良く写ると思う。
やはり「ライカとしてのフルサイズデジ一眼」は出て欲しいものだと思う。

こうやって銀塩で撮影していると、「別にデジタルでなくてもいいんだけど」と
思うのであった。

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2010.06.22

電機の動力装置の話(5)

いよいよ、EH10の登場である。

Hh_move1_20100622
 1軸1モータ式の「ある意味」の究極

EH10の改造に着手したのは、2007.12.18からである。
1軸1モータ式のテストに着手したのが2月であるにもかかわらず
EH10に到達したのは年末も押し迫ってからである。
もっとも、大した理由がある訳ではない。
種車の調達に時間がかかっただけである。
どうせ動力装置は抜いてしまうのだから・・と、京都模型のEH10を
探すのに時間がかかったのだ。
入手したものについては、台車を塗装したり、車体の一部破損
部分の補修などから着手している。

Hh_move2_20100622
 元の姿。片方の台車しか動力が入っていない。

京都模型のEH10は、ご存知の通り、片方の台車がインサイドギア
で動力化されているだけである。
つまに「1個しかモータが入っていないものに、4個入れる」という
作業を行うわけである。

Hh_move3_20100622
 これがなんと1両分なのだから驚く

モーターブラケットを8個まとめて作成したのは、12/24であった。
クリスマスイブに夜なべした成果がこれである。
このときは、さすがにゲンナリした。

Hh_move4_20100622
 苦労の末、組み付けを完了したところ

ボルスター、床板の切り欠きを入れた。
なにしろ、単に組めばいい訳ではない。
全軸、同じ調子で動くように調整しながら組んでいくのだ。
まったく疲れる作業である。

Hh_move6_20100622
 唯一変更が必要であったドローバー取り付け部

この1軸1モータ式では、車体に改造が必要ないのが良いところ
なのであるが、EH10については、全軸にモータが付くことによって
モーターブラケット部がオリジナルのドローバー位置では当たって
しまうことが判った。
結局、車体を少しカットしてドローバー位置を上に上げた。

Hh_move5_20100622
 ずらりとモータが並び、走行可能になった状態

これで走行可能になった。
今回も牽引力測定のランクは中量級にしたため、超大型のEH10
も700g以内(685g)とした。
そのため、ウェイトは車体内部にフレキシブルウェイトを貼った
だけである。

Hh_move7_20100622
 ずらりと揃った1軸1モータ仕様機関車(後ろのEF57を除く)

さて、モータの数が倍になった結果はどうであったか?
 ・EH10 : 18両(7.2kg)
残念ながら、20両牽引は果せなかった。
(注:いさみやの牽引力測定貨車(400g)は20両ある)

EF81,EF66,EF62(後出)、EH10とも実は685gなのである。
これで「同じ車重の場合、パワーが倍になっても牽引力が倍に
なる訳ではない」ということが判った。
倍のパワーになって、牽引力は1.33倍である。
なるほど、面白いものである。
ちなみに、電力は0.1A/16Vであった。
モータが倍になって、なぜか電力消費はまったく増えず。

ところで、ここでまた面白い話がある。
後日、友人達と合同で牽引力測定を行ったときのことである。
その結果は、以下の通りであった。
 ・EH10 : 18 => 16両(6.4kg)
 ・EF62 : 15 => 14両(5.6kg)
なぜか減少してしまったのである。
今に到るも原因は不明である。
まあ、18両が16両になったからと言って、別に何も困りはしないので
はあるものの、不思議ではある。

さて、新性能機(あれ?EH10は違うか)における動力性能の追求
はこれで一段落である。
ここで本題に戻らなくてはいけない。

そう「FABのサウンドデコーダを生かす動力装置」である。

                       この話、続く

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2010.06.21

電機の動力装置の話(4)

ED電機がokならば、新性能EF級は同じ方法で4モーター化が
可能である。

Fh_move1_20100621
 4モータEF級の第一号はEF81、次がEF66。

EF級は700g級とした。
第一号はどの車両にするか?と考えた結果、EF81(しなのマイクロ)
を使うことにした。
この車両、実は1982年(だったか?)の鉄模連の牽引力測定会
に参加しているのである。
我が家初のシールドモーター(サガミ)を使い、車重も1085gに
増やしてのトライは呆気なく惨敗(途中リタイア)
つくづく、牽引力を出すことの難しさを実感した。

その敗北から20年以上・・・
車重が重すぎること災いして、この10年以上はまったく持って出る
こともなかった。
そのEF81が、いよいよ21世紀の近代機として蘇るときが来た!

Fh_move2_20100621
 改造中の姿。ED58と変わるところはない。

EF81、のちにEF66を改造対象に選択したのは、台車の軸距が
長いということもある。
なにせ2個のモータを向かい合わせで搭載するのであるから、
軸距が長いに越したことはない。

Fh_move3_20100621
 ムリに中間台車を動力化するのは止めた。

EF81は2007.3.10に改造を完了。
EF66は2007.5.4に改造を完了。
いずれも700gクラス(中量級)である。
特にEF81は、重さがグッと軽くなって運転に持っていくのが楽に
なったので、急にこの機関車の愛着が復活した。
考えてみると、高校生のときに無け無しのお金で組みかけ(かなり
バッちい)のキットを購入して丹念に修復し、その後「あの敗北」
が来るまでは主力機関車だったのである。
ああ、ようやく報われる?ときが来るのか??

Fh_move4_20100621
 2%(一部3%)勾配を登るEF66(残念ながらEF81の画像なし)

計測結果は以下の通り。
 ・EF81 : 13.25両(5.3kg)
 ・EF66 : 13.5両(5.4kg)

ああ、ようやく夢の強力機関車が出来た。
そういえば、ここまで電力消費の話をしなかったが、このEF級に
おいても2%勾配登坂時でも0.2A/16V程度であった。
電流については実は重要事項で、DCCを使用するときには、
Maxが1A以下でないとデコーダが破壊されてしまう。
のちにモバイルとサウンドが別(DigitraxのSFX004など)になった
から良いようなものの、このテストを行っているときには、大変効果
なモバイル・サウンド一体のデコーダを破損しようものなら、もう
3日は立ち上がれなくなってしまうのである。
(それ以上に、経済的に大きな打撃である)
一見「なに車両イジメしているんだ」と見えるであろうが、新しい
動力形式において、限界数値(電力Max)を出すためには、ここまで
過酷なことをしないと検証できないのだ。
逆に、ここまでやっておけば、普通に運転しているときには「楽勝
である」ということは判っているので安心なのだ。

これで、4モーター車が実用になることは検証出来た。
モータは背の低いタイプを使っているし、ウェイトも少し積めば十分
なので、DCC+サウンドも可能である。

電力にまだまだ余裕がある・・・
そうなると、いよいよ「最大パワーの車両」を試さなくてはならない。

                            この話、続く

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2010.06.20

電機の動力装置の話(3)

EB電機のテストで1軸1モータ式がどうやら実用になりそうな
感覚が湧いてきたので、続いてD型を作ることになった。

Dmove1_20100620_2
 動力装置テストのために、大量にネットオークションで調達

動力装置のテストとなると、色々なタイプを作ることもあるだろうし、
テスト中に脱線転覆なども発生する可能性は高い。
どうなると、ボディは恐ろしく頑丈で、足回りは加工に耐え、全体と
低コストで調達できるものが良い。
その点、厚いブリキ板の一体プレスで作られたボディのED58
は最適である。
ともかく安く調達したいので、ボディと台車があればokとばかり、
多数のED58とネットオークションで調達した。

Dmove6_20100620_2
 さて、改造開始!

分解してもパーツ数はこれだけというのが潔い。
いつも思うのだが、金属工作の入門用の製品というのは、このくらい
単純なものから入れば良いと思うのだが。

牽引力測定については、軽量級(400gまで)になるように改造を
行うこととした。
軽量をすると、ボディ:54g、台車:84g、スカート:3g、床板(ウェイト
含む):93gで、合計は321gであった。
ということは、動力装置は79gに収めなくてはならない。

Dmove7_20100620_2
 なにしろ、モータが4個である。
 今までのボルスター(床板から延びるタイプ)が使えない。
 (改造直後の画像)

Dmove3_20100620_2
 あれこれと思案。私の書く図面はこんなスケッチ程度。

1軸1モータ式は今後もよく使う形式になるであろうから、少しでも
単純な量産に適したものでなくてはならない。

Dmove8_20100620
 以前作成したインサイドギアを参考にこの形になった。

あれこれとメモをしながら考えた結果、インサイドギアのモータ
ブラケット部のみを使えば良い、ということになった。
パーツ数としては、ネジを含めて3個である。
モーターブラケットは、初めはもっと簡単な形であった。
しかし、台車に組み込んでみるとボルスターに当たることが判った
ので、急遽切り欠きを入れた。

Dmove4_20100620_2
 モーターブラケットはインサイドギアと同じ形式

ボルスターについては、枕木方向に板を張る形式にし、台車を
絶縁する形式となった。
苦し紛れにやった形式なのだが、実際に使用してみると簡単に
台車が脱着できて整備が楽で助かることになる。
それにしても、モーターが斜めに密集している姿は、これはこれで
結構頼もしく見える。
モータについては、将来の実用車が「サウンドDCC搭載対応」をする
ことはまず確実なので、薄型のモーターを採用した。
(結果的に、これは正解であった)
もう少し小型のものを・・という考えもあったが、なにしろこのモータ
は調達価格が安いので、結果的に他のものを探すことは止めた。

動力装置を組み込んだ重量は、395gとなった。

Dmove5_20100620_2
 同じ形式でED70も改造。 台車はED58も同じだ。

探してみたが、テスト運転の画像は無かった。
EB電機のときにいっしょに計測(2007.3.11)した結果は以下の
通りだ。
 ・ED58 : 9.75両
 ・ED70 : 8.75両

この値は、わずか395gの機関車の出した値である。
2%勾配(一部3%)の勾配を駆け上がり、3.9kgの鉛貨車を牽引して
いるのである。
この牽引力は、よもや市販の機関車(重量無制限であっても)
では不可能な値である。
笑ってしまうことに、同じ台車で同じ重量でも、ED70は微妙に
牽引力が低い。
やはり、最初に作った車両には「気合」が入っているということか。

さて、ここからさらに実用車両が生まれてくることになる。

                         この話、続く

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2010.06.19

電機の動力装置の話(2)

1軸に1モータの方式を試すことになった。
テストとなると、やはり軸数が少ないものから始めるのが早い。

Bmove1_20100619
 こういうときは、私の大好きなB型電機を使う

ということで、私の大好きなカツミのB型電機を使うことにした。
動力装置が改造によく耐えることもある。

Bmove2_20100619
 左はウォーム交換したEB58、右はテスト用動力(以前は1M)

前から試してみたいと思っていたこともあった。
それは「16番の機関車は急勾配を登るときには、フランジを擦って
登るのが牽引力を出す秘訣ではないか?」ということである。
となると、動輪が大きいほど擦る面積は大きい。
このテストのために、20φの蒸気用の動輪を譲ってもらった。
これで「仮称EB54」が作れるのである。
EB58については、現在普通に入手可能なエンドウ16:2のウォーム
を装備した。
EB54については、画像では2Mになっているが、そのときはサイドワ
インダーであった。

仕様としては、両車とも200gにした。
 注:いさみやの牽引力測定は、以下のランクに分けている。
   超軽量級 : ~200g
   軽量級 : 201g~400g
   中量級 : 401g~700g
   重量級 : 701g~1000g

テスト(2007.2.12)では面白いことが判った。
 ・EB58(1M) :いい調子だったがウィームが抜けてしまった。
 ・EB54(1M) :勾配途中で動輪の回転が遅くなって止まる。
モーターは同じである。
ということは、EB54の方が粘着が良いのである。
EB58は空転させているうちに熱を持ってウォームが抜けてしまう
のである。
ということは、1軸1モータにすれば、1個のウォームにかかる負担
は減るうえに、モータが倍になるのでパワーには余裕が出来るの
である。

Bmove3_20100619
 またまた大量にモーターを仕入れてきた!

ということで、あれこれとモーターを購入してきた。
なにせ、1両に2個も搭載するのであるから、廉価でかつ調子の
良いものを探さないといけない。

Bmove4_20100619
 2種類の2M式。比較のため1M仕様も整備。

あれこれと試した結果、一番長いものと一番薄いモータの2M仕様
を作成した。
1M式についても整備をした。
前回の1M式の教訓を生かして、接着剤も耐衝撃性の強いものに
変更した。

ということで、実験風景の画像が残っていたのでUPする。

Bmove5_20100619
 これからテスト走行に向かうEB電機。
 1両400gもある貨車をこれだけ牽引するのは猛烈に過酷だ。

Bmove6_20100619
 最難関の2%(一部3%)勾配を駆け上がる1M式のEB58

Bmove7_20100619
 続いて2%勾配に挑むEB66(2M)

Bmove8_20100619
 一番急な一部3%を越えたところ。あと少しで勾配を抜ける

牽引力の測定結果は以下の通り。
(テスト実施は2007.3.11)
 ・EB10(2M薄型モーター) : 5.75両
 ・EB66(2M厚型モーター) : 4.5両
 ・EB58(1M厚型モーター) : 3.25両

車重がたった200gしかない車両が5.75両(2.3kg)の鉛貨車を引いて
2%勾配を駆け上がってしまうのである。
400g貨車を5.75両という牽引力は、700g級ED電機と同等または
それ以上の性能である。

私はこの結果で一つ自身を持てたことがある。
以前から疑問に思っていたのだが「同じ動力装置の性能で、牽引力
を上げるために死重(ウェイト)を増やすのはおかしい」である。
確かに、静止状態から引き出すときには車重がある方が良いとは
思うのだが、勾配区間では逆に足を引っ張るはずである。
それがこのテストの結果、少し証明できたように思えたのだ。

自信が出てきたので、いよいよ大型の車両の1軸1モーター式の
テストである。
もし、それがうまくいけば「ウェイトを減らしても牽引力のある機関車」
が作れることになる。
そうなれば、DCCサウンドの実用化が楽になるはずだ。

                         この話、続く

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2010.06.18

電機の動力装置の話(1)

人間が何かアクションを起こすにはきっかけがある。
私がここ数年、あれこれと動力装置を作り、果ては吊掛モーターの開発まで
行くことにはそれなりに理由があった。
まあ、実はもう忘れかけていたのであるが。

そもそも「電機の動力装置の構造を見直そう」と思ったきっかけは、サウンドであった。
蒸気機関車のサウンドについては、その音質(ブラスト音)は出しやすいというのか?
判りやすい音(シュッ!という音)だからなのか、案外あっさりと搭載が出来た。

Move1_20100618
 MRCの蒸気用デコーダ。大きさも手ごろでスピーカーの選択肢も広い

しかし、そうなってみると「蒸気以外の音も聞いてみたい!」ということになる。
当時、まだ音を自分で登録できるDCCはなく、いさみやのボイスレターを応用した
装置により1つの音を出すことができるくらいであり、その希望はなかなか叶えら
れなかった。

Move2_20100618
  ようやく蒸気機関車以外のサウンドデコーダの発売

しかし、FABが発売したEF58のキットは画期的であった。
最初からDCC搭載を標準とし、しかも「サウンド標準装備」だったのである。
うれしいことに、その標準搭載デコーダが別売されることになったのだ。
さっそく、それを購入してみた。
デコーダを購入した結果、以下のことが判った。
・EF58用のデコーダであるため、大きさ(特に長手方向)の制約があること。
・音質(ブロア音、モータ音)をしっかりと出すためには、スピーカーを考慮
 する必要があること。
さて、ここで行き詰ることになる。

Move3_20100618
  電機では標準的な車体中央にモータがある方式

ご存知の通り、機関車の中(模型として)は案外隙間がないものである。
車体の中を見て見ると、大半はモーターと駆動装置、そしてウェイトである。
モーターは不用意に小さくはできない、駆動装置は簡単に変更できない、
ウェイトは減らせるかもしれないが牽引力維持を考えるとうかつには減らせない。

ともかくデコーダとスピーカーを乗せ、テストを繰り返した結果、問題がはっきり
してきた。
それは、スピーカーである。

Move4_20100618
 小型と思われるものは片っ端からテストを行った。
 ここに出ているものはほんの一部である。

車両に搭載可能と思われるスピーカーを、片っ端からテストした結果、
MRCの28φ(エンクロージャー付)が最適と言うことが判った。

Move5_20100618
 手前左側が28φ、右が20φ。 機関車と比較すると大きさが判る

それは良いのだが、なにせエンクロージャー付である。
そうでなくても隙間の無い車内に、「中は空っぽの大きなエンクロージャー」のついた
スピーカーを乗せるのである。
これでは、ウェイトを削るどころか、電気機関車では普遍的な「ボルスターセンタ間
にモーターがある形式」では収納不能ということになる。

さらに熟考した結果、「それならば、昔からの縦型モータ+インサイドギア形式の
動力装置の機関車を作り、それに搭載してみよう」ということになった。

Move6_20100618
 珊瑚のEF53をインサイドギア化するというのは、ある意味ど根性。
 その苦労話は
  http://homepage2.nifty.com/M-ROMEN/
 を参照のこと!

まあ、どうにか出来てテストも行った。
まあまあの結果であるものの、以下の問題が発生した。
(1)いつの間にか、インサイドギア、またはそれを作成するための平ギアがまったく
  入手できなくなっていること。
(2)サウンド関連の装置を載せるため、車体中央部を空けて第一動輪側にモータ
  を置くと、連動するギア数(通常は第2動輪)が増えて音が大きい。

(2)はまあまあ我慢するにしても、(1)は今後もサウンド化することを考えると
深刻な問題である。

さんざん考えた結果、以下の考えに到達した。
「ギアが入手できないというのならば、動輪各軸にモーターを置けば良い」
それならば、ギアもウォーム1対となり、騒音も小さくなるはずだ。
さらに、ひょっとすると効率が改善してパワーアップも狙えるかもしれない。
そうすれば、ウェイトを減らして大きなスピーカーを設置できるし、車重が軽くなれば
車輪や車軸、台車の傷みも減るのである。

ということで、各軸モーター化を実験することとなる。

                               この話、続く

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2010.06.16

EF62のカーブ通過

ある人がEF62を製作しているのを見て「そういえば、ウチにもEF62があった
な(遠い目)」と思い出した。
カーブ通過はどれくらい?ということで、手持ちのEF62をテストした。

Ef621_20100616
 天賞堂のEF62(最初期、2ロット目)が2両。

ちなみに、ウチのEF62はこんな感じである。
 ・ファーストロット:自作動力装置に交換
 ・セカンドロット :ウォームギア両軸落とし(モーターはEN22に交換)
両方とも、無事にR490を通過。
この時代の天賞堂の機関車は、R600でも十分に運転して遊べた。
さすがである。

Ef622_20100616
 KATO R430も無事両車通過。

これまたさすがである。
R430のカーブも平然と通過。
こうなってくると、動力装置の優位性なし(笑)

結論としては、「EF62という車両は、C-Cという車軸配置でもR490は楽勝」
というものであった。
ちょっと意外だ。

Ef623_20100616
 天賞堂ファーストロットは動力は自作のものに交換している

ちなみに、ファーストロット、セカンドロットとも同時に購入した。
ファーストロットがあまりに安かったからである。
動力については、画像の通りで4モーター式で軸配置はA-B+B-Aに
なっている。
当時、ほとんど実用化されていた「1軸1モーターの吊掛式」の応用版
になっていたのである。

Ef624_20100616
 改装当時の記録。2007.12.9となっている。

当時の記録を確認すると、
 4モーター式 : 400g牽引力テスト貨車を15両牽引(勾配は2~3%)
           車重は697g
 天賞堂オリジナル : 同車両と5両(同条件)
               車重は714g

カーブ通過テストをしていて思いだした。
かなり前に、この動力方式の話をする・・・と書いていたのだ。
動力装置の違いで、2.4倍の牽引力の差が出るのだ。
まあ、最近のモデラーの方で「実性能うんぬんする」という方は、あまりいない
からどうでもいいことかもしれないが。
鉄道模型の世界で、動力装置のしくみうんぬん・・を数字付きで語る人は
少ない。
私が最近参考にさせて頂いている(いや、私などは及びも付かない)方以外
はほとんど例がない。
16番の車両として、動力がうんぬんの話は役に立つかもしれない。
架線の話と伴に、本ブログにてまじめに話しをしてみようと思う。
(今までサボっていた反省も含めて)

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2010.06.13

架線調査

先週、今週と都電 荒川線と訪ねて、架線を見てきた。
鉄は世の中にいっぱいいるだろうが、わざわざ鉄道を撮影に行って、その
90%以上を架線を眺め、図を描き、撮影するヤツはかなり珍しいであろう。
究極の「鉄」かもしれない(そうか?)

さて、そういうことをやっていると、このような画像ばっかり撮影される。

Toden1_20100613

Toden2_20100613

Toden3_20100613

Toden4_20100613

Toden5_20100613

Toden6_20100613

Toden7_20100613

ほんの一部であるが画像をUP。
これらを見てもらうと判るだろうが、画像だけを見ても「これでどうやって
架線を張っているのか?さっぱり判らん??」である。
1度目の訪問で、画像だけ撮影してきて帰宅。
見たとたん・・・「なんだか判らん??」
ということで、2度目の訪問となった。
今度はノートを持って行って、架線と架線柱の関係を・・・・
とっても怪しげに線路端を歩き回って記録。
それで判ったのが、図に描くことの難しさだ。
現地でパッと見ても、道路や建物、電柱の関係を正確に図に書くことが
出来ない・・・・(涙)
やはり、綿密な準備活動として、現地の地図を用意しなくてはダメだった。
ああ、こうやって失敗しながら人間は育っていくのか?
(注:筆者はもう完全にオヤジ年齢)

Toden8_20100613
 ようやく動くところを撮影した「阪堺色」

まあ、阪堺色の7500系が撮影できたから良しとしようか。
架線の張り方の考察については、画像と「ちょっと失敗」の手書きの図を
参照しつつ考えることとしよう。

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2010.06.09

架線柱の歴史

鉄道模型の話を始めたので、連続で行く。
(銀塩の撮影結果もそれなりに溜まっているのだが)
今回は、架線柱の話である。

Romenn1_20100609
 まずは長尾軌道の現在の姿

なにせ15年の期間があるのであるから、架線柱も運用結果を反映して
どんどんと変化している。

Romenn2_20100609
 県道線がほぼ完成した1996.4.27のときの写真

長尾軌道県道線を製作したときには、架線も架線柱もまだまだ実験段階の
ものであった。
ゆえに、形態的にも強度の上でも問題があった。

Romenn3_20100609
 我が家の架線柱進化?の歴史。過去のものを、検証用に残してある。

画像の一番手前のものが初期の架線柱である。
前年に路面電車のレイアウトを企画した段階では、架線柱は上から木ネジ
で止める形式であった。
しかし、それでは以下の点で問題があることが判った。
 ・ともかく見た目が悪い
 ・木ネジ(2本)で止めると、角度(架線)の調整が出来ない
そのため、3.0φの真鍮丸棒をダイスでネジ切りして使うこととした。
これで問題が解決した・・・と思ったのだが、真鍮板(0.6t)を穴を開けて単純に
ハンダ付けしただけのものでは、ナットを締めていくと外れてしまうのだ。
また、ブラケット部分も単純に曲げただけの形ではあまりにシンプルで
あまりに幼稚?な感じであった。
そのような訳で、奥に向かって順に形態が変化していく。

Romenn4_20100609
 現在の県道線の架線柱。 シンプルカテナリにも対応したものだ。

上記のような問題があったため、固定部分は4.0φのパイプを付けて
ナット締めのための強化を行った。
架線を固定する部分についても、それなりに実物を意識した形にしてある。
シンプルカテナリ、メッセンジャーを張るための金具も装備済みだ。
これらの変更は、1996年着工の寺町線のために開発したもののフィードバック
したものである。
日々進歩していったのである。

Romenn5_20100609
 さらに新型の瑞穂線の架線柱

瑞穂線は2002.4.14に完成している。
架線柱についてもさらに形態・機能ともに改善されているが、特に台座部分が
真鍮線によりすっきりとした形態に改善されている。

最期の瑞穂線からも8年が経過している。
今度作るものは、さらに架線も架線柱も改善しなくては問題である。

Romenn6_20100609
 私にしては珍しく、実物の架線・架線柱を見て研究中。

私も少しは大人になった。
ある方のブログを読んで反省したのだが「実物を知らない人が作った模型は
なにかどこかがおかしくなる」と書かれていた。
私は、県道線に始る架線・架線柱を開発する段階で、あまり実物を研究
しないで工作をしていた。
ゆえに、あちこち迷ってモノを作っていたように思う。

ということで、実物を研究している。
実地検証を元に、図などを用意中である。
少しだけ期待して欲しい。

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2010.06.08

路面電車のレイアウトで誓ったこと

さすがに鉄道模型をやろう!

今から約15年前に、路面電車のレイアウトを作ろうと思った。
動機は、鉄道模型社の都電400のエッチングキットを入手したからである。
私は、1980年くらいから鉄道模型製作について記録を残している。

Tue2_20100608
 そのノートの一部。 長尾軌道の架線についての記述の部分。

ときに1995.8.12のことであった。
そのときに、こんな目標をかかげている。
 ・交換/着脱可能な架線システム
 ・延長可能 (注:モジュール構造)
 ・シーナリはきちんと作る (注:純粋日本の風景)
 ・運搬は電車でも可能 (注:小型・軽量の可搬式)
架線のシステムについては、いさみやの社長のアイデアを使い、8/20に
そのアイデアをメモしたのが、上記のページである。
着工は9/6で、一応の完成は1996.4.13であった。
その後、1997.1.25に架線柱と架線を交換し、以後は特にメンテナンスは
やっていない。
つまり、13年が経過した訳である。

Tue3_20100608
 現在の姿。なんということはなく使用可能だ。

いよいよ路面電車のレイアウト製作でもやるか・・と取り出した県道線。
架線は13年メンテナンスなしでもビクともしていない。
上記の誓いの中には書かなかったが「10年メンテナンスフリー」と考えて
いたのだが、どうやらその目的は達したようだ。

しかし、ここで気がついた。
> ・延長可能 (注:モジュール構造)
しまった!これが達成されていないではないか!

Tue4_20100608
 同じく鉄道模型日誌にあった記録。

1996.5.3に延長モジュールの記録があった。
寺町線については、この後、プランを変更して作成することになったが、
県道線に接続できる形ではなかった。

これはいかん。
やはり作るしかないのか。

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2010.06.05

Contaxのフードの謎(その2)

Contaxi1_20100605
  久々にMiniで遠出。 定番の小淵沢のオメガ線。

久々に遠出することになった。
そういえば、ContaxI型で動くものを撮影したことがないので、購入して放置
していたフードを付けて持参した。

なにせ、初めて使うので「フードを何段繰り出すのか」と悩んだ。
3段あるのだから、3段出せばよいのだと思うのだが、自信がないので
2段繰り出しで使用した。

さて、勾配を登ってくる(あるいは下る)気動車を撮影すると、ContaxI型の
とっても面倒な巻上げでも3連写はできる。
そうなると、こんなことが発生する。

Contaxi2_20100605
  いとも簡単に斜めになってしまうフード。

3連写してふとカメラを見るとこうなっていた(涙)
このフードはマウントの外バヨネットを使うのだが、レンズのようにロックが
ないので、ちょっと触っただけで動いてしまう。

Contaxi3_20100605
  フードとダイヤルの距離はこれしかない。これではどうしても・・

ロックが無いのに、ボディ前面にある巻上げダイヤルとフードの距離はこれしか
ないのである。
これでは、連写したら触ってしまう可能性大である。
もっとも、I型で連写する・・・あまりそういう人は居ないとは思うが。

Contaxi4_20100605
  フードの傾いたカット。1/500 F=1:4

上記のフードの状態で撮影したカットがこれである。
結果としては問題がなかった。
フードを2段しか繰り出さなかったことに救われたようである。

Contaxi5_20100605
  フードの傾いたカット2。1/500 F=1:4

しかし、こういうカットもあった。
光線の具合によってはダメだったようだ。

Contaxi6_20100605
  Tessar50F2.8 絞り開放 1/1000

Contaxi7_20100605
  Tessar50F2.8 絞り開放 1/500

生憎の天気ながら、なんとか風景を撮影出来た。

それにしても不思議なことがある。
仮にもZeissが「こんな簡単に回ってしまうフードをなぜ作ったか?」である。
いくらなんでも、これは酷すぎるのではないか?という疑問である。
まあ、こういう欠陥があったからレアアイテムなのか・・と思いつつも、
やはりどうも釈然杜しない。

ひょっとして・・・・

Contaxi8_20100605
  I型のVer.2(1コブ)に装着したフード。なんと・・・

我が家の古株カメラ、ContaxI型のVer.2にフードを装着してみた。
結果は・・・・「あれ?ガッチリ固定されてるぞ」
Ver.7には無限大ロックがあり、それがフードに浅く入るのであるが、それでは
このフードは固定されない。
しかし、どうやらVer.1~4のロックがないタイプは、微妙にバヨネット部の厚さが
あって、それでカッチリはまるようである。
残念なことに、位置的にノギスが嵌らないのだが、スケールで鉄道模型的な
計測をすると、バヨネットの厚さは
 Ver.2 : 1.25mm
 Ver.7 : 1.0mm
であった。

Contaxi9_20100605
  結局、このフードの主は、ウチの古株のVer.2だったのか。

使用しなかったので気がつかなかったが、実際に使用してみるとこのような
ことがはっきりしてくるのである。
こういう情報は、案外書籍にもネット上でも出て来ない。
クラカメを実際に使うものの「知ることのできた喜び」である。
それがなんであれ、「実践しないものには判らない」のである。

ところで、このフードの話にはオチがある。

Contaxi10_20100605
  このフード、Contaflexと共用だと聞いていたのだが・・・

Tessarのフードが無い悩みは、ContaxI型だけではないのである。
なんと!ContaflexもTessar50F2.8なのである。
こちらも「Sonnar50F1.5付きが欲しい」などと言っていたら、友人から「なに言って
るんですか!高級機のContaFlexはTessar付きは珍しいんですよ」と言われた。
私にしてみると、レアアイテムかどうかよりも「撮影のためのフードがない」のが
悩みであった。
どこかで「この黒フードはContaflexでも使える」という話を聞いたからこそ、
長年探してきたのであるが・・・

結果は「バヨネットの形状が違う」のであった。

ああ、次はContaxFlexのフードを探す旅か・・・
まったく、探す楽しさは尽きない。
それでいいのである。

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