電機の動力装置の話(1)
人間が何かアクションを起こすにはきっかけがある。
私がここ数年、あれこれと動力装置を作り、果ては吊掛モーターの開発まで
行くことにはそれなりに理由があった。
まあ、実はもう忘れかけていたのであるが。
そもそも「電機の動力装置の構造を見直そう」と思ったきっかけは、サウンドであった。
蒸気機関車のサウンドについては、その音質(ブラスト音)は出しやすいというのか?
判りやすい音(シュッ!という音)だからなのか、案外あっさりと搭載が出来た。
MRCの蒸気用デコーダ。大きさも手ごろでスピーカーの選択肢も広い
しかし、そうなってみると「蒸気以外の音も聞いてみたい!」ということになる。
当時、まだ音を自分で登録できるDCCはなく、いさみやのボイスレターを応用した
装置により1つの音を出すことができるくらいであり、その希望はなかなか叶えら
れなかった。
ようやく蒸気機関車以外のサウンドデコーダの発売
しかし、FABが発売したEF58のキットは画期的であった。
最初からDCC搭載を標準とし、しかも「サウンド標準装備」だったのである。
うれしいことに、その標準搭載デコーダが別売されることになったのだ。
さっそく、それを購入してみた。
デコーダを購入した結果、以下のことが判った。
・EF58用のデコーダであるため、大きさ(特に長手方向)の制約があること。
・音質(ブロア音、モータ音)をしっかりと出すためには、スピーカーを考慮
する必要があること。
さて、ここで行き詰ることになる。
電機では標準的な車体中央にモータがある方式
ご存知の通り、機関車の中(模型として)は案外隙間がないものである。
車体の中を見て見ると、大半はモーターと駆動装置、そしてウェイトである。
モーターは不用意に小さくはできない、駆動装置は簡単に変更できない、
ウェイトは減らせるかもしれないが牽引力維持を考えるとうかつには減らせない。
ともかくデコーダとスピーカーを乗せ、テストを繰り返した結果、問題がはっきり
してきた。
それは、スピーカーである。
小型と思われるものは片っ端からテストを行った。
ここに出ているものはほんの一部である。
車両に搭載可能と思われるスピーカーを、片っ端からテストした結果、
MRCの28φ(エンクロージャー付)が最適と言うことが判った。
手前左側が28φ、右が20φ。 機関車と比較すると大きさが判る
それは良いのだが、なにせエンクロージャー付である。
そうでなくても隙間の無い車内に、「中は空っぽの大きなエンクロージャー」のついた
スピーカーを乗せるのである。
これでは、ウェイトを削るどころか、電気機関車では普遍的な「ボルスターセンタ間
にモーターがある形式」では収納不能ということになる。
さらに熟考した結果、「それならば、昔からの縦型モータ+インサイドギア形式の
動力装置の機関車を作り、それに搭載してみよう」ということになった。
珊瑚のEF53をインサイドギア化するというのは、ある意味ど根性。
その苦労話は
http://homepage2.nifty.com/M-ROMEN/
を参照のこと!
まあ、どうにか出来てテストも行った。
まあまあの結果であるものの、以下の問題が発生した。
(1)いつの間にか、インサイドギア、またはそれを作成するための平ギアがまったく
入手できなくなっていること。
(2)サウンド関連の装置を載せるため、車体中央部を空けて第一動輪側にモータ
を置くと、連動するギア数(通常は第2動輪)が増えて音が大きい。
(2)はまあまあ我慢するにしても、(1)は今後もサウンド化することを考えると
深刻な問題である。
さんざん考えた結果、以下の考えに到達した。
「ギアが入手できないというのならば、動輪各軸にモーターを置けば良い」
それならば、ギアもウォーム1対となり、騒音も小さくなるはずだ。
さらに、ひょっとすると効率が改善してパワーアップも狙えるかもしれない。
そうすれば、ウェイトを減らして大きなスピーカーを設置できるし、車重が軽くなれば
車輪や車軸、台車の傷みも減るのである。
ということで、各軸モーター化を実験することとなる。
この話、続く
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