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2010年2月28日 - 2010年3月6日

2010.03.06

KODAK EKTRAの話(2)

KODAK EKTRAの話の続きである。

Ektra2_20100306
 EKTRAのマガジンを外したところ。こんな単純なことにスリルが存在する。

エクトラ関係の話で必ず出るのが「マガジン交換機ではあるが、それをやると
調子が悪くなるのでやらない方が良い」というものである。
結論から言ってしまうと「それは正しい」のである。

しかし、実体はそのように単純ではない。

エクトラは微妙なことで調子が狂うことがある。
実はこれからお話する構造上の問題があるからなのだが、その不調の原因
を解決するためには、マガジンを外さないと話が始らないのである。
考えてみると「マガジン交換式のカメラ」なのであるから、それは当然のこと
ではあるのだが、製造後70年近くを経過したクラシックカメラに、このような
アキレス腱が存在することが、21世紀のメカ好きを悩ませることになるとは
当時の設計者は考えもしなかったことだろう。

さて、ここから筆者の10数年に及ぶエクトラ経験によるマガジン脱着の手順
とトラブル事例の話をする。
参考にしてもらっても良いのだが、この話は「あくまで筆者の経験と知識」
であり、これがメーカーや権威者(誰だ?)の技術情報ではないということ
を良く理解して欲しい。
ここに出て来ることを、どのように生かすのか?は読んだ方の自己責任に
よることを理解しておいて欲しい。

長い前置きはこれくらいにして、マガジン脱着の手順に入る。

Ektra3_20100306
 外したマガジンと本体の関係。勘合部のスリットが平行になっていること
 に注意!

上がマガジン、下が本体である。
勘合部分はマガジンが凸、本体側が凹である。
本体側のギアは、このまま上部にある制御機構に繋がっている。
制御をするのであるから、カッチリとしていそうなものであるが、この状態では
フリーになっており簡単に動いてしまう。
後で話しをするが、エクトラはマガジン脱着を可能にするため、あちこちに
ラチェット機構がある。
この部分もそうなのであるが、ラチェットであるから「片方には回らないし、片方
には楽に回る」のである。
そう、巻き上げ側には平気で動いてしまうのだ。
マガジン側は一応はロックがかかっている(これも後述)
カンの良い人は判ると思うが、安易にマガジンを外してしまうと、ここがちょっと
動いてしまうだけでも元に戻せないし、ヘタをすると壊してしまうのだ。

ここまでお話すればもう判るであろう。
エクトラのマガジンの脱着は「この勘合部分の平行をキッチリと守って外して
また戻せばよい」のである。
文字にすると簡単だが、実践がなんと難しい内容であることか。

マガジンを外す場合は、シャッターはチャージされていない状態が良い。
やってみると、どちらの状態でも脱着は可能なのであるが、前述のように
本体側にシャッターのテンションがかかった状態になっている場合、あまり
調子の良くない(整備状態の悪い)エクトラは、この勘合部分が微妙に
傾いていたり、軽い振動でレリーズしてしまったり・・とさんざんなのである。
まして、脱着中にレリーズしてしまったら・・これは大変な事態だ。

Ektra4_20100306
 シャッターがチャージ状態。速度は1/100に設定されている。
 フィルムカウンタしたの小窓がチャージの表示(チャージ済:黒)

これがシャッターチャージが完了している状態である。
シャッター速度は1/100、チャージ表示が黒になっている。
この表示ははっきり言って判りにくい。
ハッセルのように、白と赤にすれば良かったのに・・とは誰もが思うことで
あろう(今更言っても仕方がないのだが)
シャッター速度がかなり重要な判断基準にもなるのだが、困ったことに
1/25にしているときには判断しようがない(笑)
こういうところも、トラップが仕込まれているのである。

Ektra5_20100306
 シャッターを切った状態。シャッター速度は1/25.チャージ表示は赤。

この状態がシャッターを切った(リリースした)状態である。
シャッター速度は、どの速度域(1/25~1/1000)でも1/25になる。
これがまたエクトラの機構的面白さなのだが、今回はそれには言及しない。
この状態であることを確認して、次の手順に入る。

Ektra6_20100306
 マガジン下部分のスライダーをUNLOCKに動かす。

次はマガジン下部分のスラーダーをUNLOCK側にスライドさせる。
この動作により、マガジンの本体側に金属の薄い幕が出てカバーされると
同時に、内部にある金属ブロックが押されて巻き止めがかかる。
この構造は、10数年前に幸運にも「水没エクトラ」を廉価に入手して、本体
とマガジンを分解して内部機構を調査した結果判ったことだ。
ところで、この巻き止め機構なのだが、実体験と調査の結果、案外ロック
が緩くて巻きがかかってしまうことがあるのだ。
そうなると、上述した勘合部分に矛盾が生じることになる。
ここもまたトラップである。

長くなったので、続きはこの次のUPで述べる。

Ektra1_20100306
KODAK EKTRA Ektar35F3.3 F=1:8 ネガフィルムをスキャン

エクターの描写で好きなのは「青い空が蒼く写る」ことである。
この魅力のために、苦難の道を10数年なのである。
この写りを見ると、エクトラ維持の苦労がかなり癒される。

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2010.03.05

KODAK EKTRAの話(1)

うやむやのままに、Rollei SL2000Fシリーズの撮影をしないまま、この話題へと
移行していく。
要するに、ブログなのであるから「気分次第」なのである。

田中長徳さんの名著「銘機礼賛」を読んで、クラカメの世界に落ちた人は多いと
思う。
私は、Leica IIIf、Contax IIを実用品?をして購入してから、この本を購入し、
ALPAを買ったのである。
この本の中で、私がハマってしまったものは以下のようなものだ。
 ALPA
 KODAK Ektra
 Rollei SL2000F
 
実際に入手したのも、この順番である。
KODAK Ektraは確か1993年くらいに入手したはずである(やや曖昧)

Ektra2_20100305
 今でもしっかりと稼動しているEktra。しかし、その道は苦難の連続。

私が最初に使ったEktraは友人のものであった。
銘機礼賛を読んだ友人が、海外から購入したものの「そのあまりに違う
使い勝手」に驚き、届いてすぐに私のところに持ってきて「使ってみて
ください(涙)」となったのだ。
そして、彼の予想は的中し、試験撮影時に・・・・
(この話は凄く面白いのだがやらないことにする)
このような苦難の少し後に、私のエクトラはやってきた。
しかし、受け取った時点で故障して動作しなくなっていた。
そんなとき、私は仕事では決して見せないパワーを発揮し、巡り巡って
修理名人に「私はやってあげられないが、貴方なら出来る!」というドラマ
のような逸話が展開し、徹底的にエクトラのしくみを教わることで自分で
トボトボと修理しながら使用し、故障しては修理、また壊れては修理・・
という修行がなんと!5年以上も続き、そして最期に「エクトラ修理名人」
の最終メンテが入ることにより「真の快調さ」を手に入れたのである。

そして、それから10年以上・・・
今も快調である。
長く続いた平穏な日々。
本当に、コダック エクトラは私を鍛えてくれた。

さて、思い出話はともかく、KODAK Ektraにまつわる各種の話について、
私の知識と経験を元に話をしていきたい。
なお「正しい歴史」を学びたい人は、海外の文献を見るか、日本国内でも
きっちりとした書籍を探した方が良い。

まずは「Ektar50F1.9のグルングルンぼけ」である。
たまに「Ektar50F1.9の特徴は後ボケがグルングルンになる」ということが
述べられているものを見かける。
それはそれで正しいことなのだが、後ボケが暴れるタイプのレンズは、別に
Ektar50F1.9には限らない。
タンバールやノクチルックス50F1.2だって結構グルングルンである。

たとえば、このような例がある。

Ektra3_20100305
 定番モデルのチョコ君。Ektar50F1.9 絞り開放

このように撮影するとエクター50F1.9でも後ボケはおとなしいものだ。
要するに「グルングルンボケはレンズの個性というよりも、撮影にシチュエーション
により発生」するのだと思っている。

では、Ektar50F1.9でグルングルンボケを再現してみよう。
私がレンズテストをするときに「これは後ボケが暴れる」というテストを行うために
選ぶシチュエーションはこのようなものである。
 ・被写体はやや暗めになっている
 ・背景は細かくチラチラしたものがある(木漏れ日など)
実践してみるとこのような感じだ。

Ektra4_20100305
 KODAK Ektra Ektar50F1.9 絞り開放

Ektra5_20100305
 KODAK Ektra Ektar50F1.9 絞り開放

このようになる訳である。
ボケ味をどう使いこなすか?はレンズ選択もあるが「特性を生かした背景を
選ぶ」というのは、私のような素人が口にしなくても言われていることである。
私自身は、Ektar50F1.9を含むエクトラのレンズは、ボケ味というよりも「快晴の
ときに空の蒼さがクッキリとする」だと思っている。
もっとも、日本の気候でその状況にうまく出くわすのが難しいのだが。

Ektra1_20100305
 17年を経過し、KODAK Ektra軍団が強化された。

快調な私のEktraではあるのだが、製造されて約70年が経過、私の手元に
来てからも17年近くが経過、考えてみると、私の手元にある期間だけでも
現代の電気カメラでも寿命になるくらいの年月だ。
さすがに1台では不安なので、もう10年前くらいから2台目を探していたが、
ようやく廉価なものを入手することができた。
2台あると、あれこれと比較も出来る。
今後、マガジン着脱の話やシャッターの話、レンズの話をしていく予定で
ある。

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2010.03.02

Rollei SL2000Fのバッテリーパック(復活)

Tue4_20100302
 SL2000Fシリーズのバッテリーパック。 右下がオリジナルのSl2000F用

10年くらい前に無くなってしまい「オリジナルの状態にした」と思っていた
SL2000F用のバッテリーパックをようやく入手した。
3003用はNi-Cd専用になっているのだが、SL2000F用は単3タイプは
何でも入れることが可能である。
eneLoopがある21世紀には、こちらの方がエコなのだ。

ようやく「ココロの隙間」が埋まった。

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2010.02.28

Rollei SL2000Fのグリップ

Rollei SL2000F,3003の撮影準備は終わった。
それなのに雨である。
まったく残念なことだ。
撮影は諦めて、以前から書こうと思っていたローライSL2000F用のグリップについて
の話をする。

Rolleig1_20100228
 SL2000Fの左右にあるレリーズ、3003のように上部にはない。

カメラ関係の書籍にも、ネット上の話を見ても「両側のレリーズで右手、左手で
レリーズできるようになっている」とある。
しかし、実際に使っていると少し疑問を感じる。
それは、このレリーズのある位置なのである。
ハッセルをお持ちの方は判ると思うが、ハッセルやSL2000Fのような箱型の
ボディは、抱え込む、あるいは手で包み込むような形でホールドするのが
使い易い。
そうなると、レリーズは前面に欲しい。
SL2000Fのレリーズ位置でも、確かにボディ下部から手で包むように持てば
丁度良い位置ではあるのだが、そうなるとウェストレベルファインダーならば
良いが、アイレベルではフォーカシングがやりにくい。
私は、このレリーズの位置は「ホールドを補助する装置とセットで考えるように
なっている」と思っていた。

そういう疑問を感じて数年・・・・
あるとき、ようやくRolleiSL2000F用のグリップを入手出来た。

Rolleig2_20100228
 まるで航空撮影用のようはSL2000F用のグリップ

これがそのグリップである。
3種のパーツから成っており、セットで売ればよいのになぜかバラで販売されて
いた(箱が別なので)という事実は、「もし1パーツでも入手できなければ能力を
発揮出来ない」というのがなんとも面白い。

結論から言うと、このグリップがあるとSL2000Fの使い勝手は大きく改善する。
というか、一度これを使ってしまうと、裸のSL2000Fを使う気にはなれない。

Rolleig3_20100228
 グリップ内に内蔵されたピンが絶妙な感触でレリーズを押す

言葉では説明しにくいが、このグリップのレリーズは大変いい感じである。
普通、なにかを介してレリーズを押すと、フィーリングがどうしても低下する
ものである。
しかし、このグリップに関しては「これが入ることにより劇的にフィーリングが
良い」のである。

Rolleig4_20100228
 3種のパーツ。グリップ本体、支持部(レリーズピンあり)、ボディ接続部

グリップはともかく、他のパーツは極めて簡素な形をしている。
カメラのような重いものを、このような単純なダイキャストパーツでガッチリと
支持できるというのは、なんとも巧みな構造である。

Rolleig5_20100228
 グリップ部 六角ボルト1本で必要部分が全て外せる。

支持部、グリップ上部(ハンドストラップ)、反対側の支持部受けの蓋が
ボルトを緩めると外れる。
このグリップ、両側に支持部を固定できるようになっており、利用者の都合で
簡単に組み替えが出来る。
なんとも賢いしくみだ。
ハンドグリップ部のところには、実はレリーズを押すしくみがあるのだが、
SL2000F側にこれを受けるしくみはなく、たぶん他のパーツとの組み合わせで
何かを実現するのであろうが、残念ながら私はそれを所有していないので
謎である。

Rolleig6_20100228
 巧みなダイキャストの造形により、ボルト1本でがっちりと固定される。

支持部については「こんなに細くて大丈夫?」と思うのもさながら、ボディ接続部
との固定がボルト1本で果たして緩んでしまわないのか?という疑問はあった。
しかし、実際に使うとダイキャストの造形の微妙さにより、ボルトを締めると
ビクとも緩まない。
良く考えられたしくみである。

Rolleig7_20100228
 工具(6角レンチ)はグリップに格納。

グリップを使うための6角レンチはグリップに格納されている。
何をするにもこれを使うので、このしくみはありがたい。

3003では上部にレリーズが付き、ビデオのように保持できるハンドグリップが
付いたのでこのグリップは必要ないが、SL2000Fには必需品である。
このようなアイテムが、本体の何倍もレアアイテムなのは残念なことだ。

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