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2011.08.12

26年式拳銃

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 ようやく書籍を購入

 

ちょっと時間がかかったが、ようやく米国から本が届いた。
この本は、1972年に初版が出たそうだが、この中には膨大な量の日本軍の拳銃の
資料が記載されている。
趣味については、欧米人の執念を感じさせる。
まあ、テーマがテーマなだけに、日本ではこういう研究はされないのであろうが、
私のメインの趣味であるところの鉄道(模型)でもクラカメでも、ここまでやる人の
なんと少ないことか。
それはともかく、この本が出た結果として、それまではほとんど古物でしかなかった
日本軍の拳銃が一気にコレクターアイテムとして珍重されるようになったそうである。
そういえば、クラカメでもALPAなどはこの類かもしれない。

 

さて、このようなものを入手してしまうと「たとえモデルガンでも一応揃えてみたい」
と思うものである。

 

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 日本軍(というか日本製)初の正式拳銃、26年式

 

実は、昨年の「竜馬伝」から気になっていたのだ。
「あの拳銃はどこのものだ?」
あの時代にしては、妙にクラシックな形をしているし、お龍さんが、いちいち
ロータリー弾倉に火薬と鉛玉を入れてギュ~ギュ~するのだろうか?

 

結果、あれはS&WのNo.2で金属薬莢のタイプだと判った。
さらに、NHKの「タイムスクープハンター」で、郵便配達人などの官庁系の
護身用にも、No.1やNo.2が配布されたことも判った。

 

そうなると・・「じゃあ、日本軍初の拳銃は?」となる。

 

NF文庫の「有坂銃」を読むと、どうやら日本軍はWWIIまで一貫してサイドアーム
を重視していなかったようである。
なので、明治になってからは、積極的に小銃の開発を行っている。
それに比べて、どうも拳銃の話は地味である。
ネットで調べると、S&WのNo.1とNo.2の後、かなり経過してから海軍がNo.3を
採用したことが判った。
このNo.3は、改良されたものがスコーフィールドという名前で1875年にあの有名な
SAAの補助として米軍に採用されたシングルアクションタイプの拳銃である。
そのまま、この26年式拳銃が採用される1893年(明治26年)まで、正式として
使われた。

 

Japang7_20110807
 比較用?に購入しておいたウェブリー(ダブルアクションオンリー)と

 

拳銃の本場の米国でも、シングルアクションの拳銃を使っていたのだから、
ほとんど拳銃を使うこともない(実際は大陸側であれこれと紛争はあったものの)
日本であるから、S&WのNo.3でも十分であったはずである。
これも資料を読んでいくと、26年式研究(当時は”開発”という言葉はなく、研究と
言った。開発という言葉は戦後出来たもの)のきっかけは、騎兵の登場である。
騎兵は、手綱を持っていたり揺れる馬の背から攻撃をするため、片手で連射
出来る拳銃が求められ、各国でも同様に開発が始まっている。
米国では、1892年にダブルアクションのコルトが正式採用されている。
このウェブリーの正式採用時期は不明であるが、たぶんほぼ同じ時期であろう。

 

こうしてモデルガンを並べてみると、この2丁はほぼ同じ大きさである。
考えてみると、人間の手の大きさは同じだから、よほどの理由がなければ
大きさや重さはどこの国で作っても変わらないのだろう。

 

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 中折れ式

 

26年式はいずれハートフォードが製品化するから・・と思っていたのだが、
どうしても欲しくなったので、運よく頑住吉氏の製品を入手できた。
中折れ式の仕組みを比較するとそっくりであるが、大きな違いは薬莢の
リムの部分がぴったりと収まるように、シリンダにカウンター・ボアードが
施されている。
現代の目から見ると、この単純な構造の拳銃の開発に、6年もかかった
国が、銃の本場の欧米ですらやらなかった凝った構造をしたのはなぜ
なのだろうか?

 

さて、26年式にはさらに?なことがある。

 

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 トリガーガードがなぜか回転出来る・・

 

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 トリガーガードを前方に回すと、サイドプレートがオープン出来る

 

頑住吉氏の26年式でも、この構造は再現されている。
トリガーガードをグッと押して回すとロックが外れ、サイドプレートが後方に
回って開くことが出来る。

 

おお!便利!!

 

しかし・・・この機構はなぜこうなっているのか?
さして銃に詳しくない私でも疑問なのは「リボルバー拳銃の機関部は、
頻繁に調子を見る必要などない」ということである。
どの国の拳銃でもそうだが、サイドプレートはネジ止めである。
これまたそうなのだが、26年式の製造に大変時間のかかった国が、さして
必要と思われないこの機構を採用したのは謎である。

 

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 実物構造との比較

 

26年式は、その用途(騎兵用)のためにダブルアクションオンリーである。
さすがに、このモデルガンは完全にその機構をそのまま採用はしていないが
この銃の話でよく聞く「ちょっと触っただけでも弾倉が回ってしまう」も、しっかり
と再現されている。
まったく、見事にくるくると回ってしまう。
この辺りが、ハートフォードの製品でどう再現されるのか?が楽しみであるが
前述の2点の「妙に凝った機構」などやらずに、もっとこの点を改善すべきでは
なかったのだろうか?
しかも、26年式はいろいろとあって昭和になっても作り続けられたが、外観的
な違い以外は、なんの改善もされなかった。

 

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 銃握の形

 

26年式を手に取っていて気が付いた。
「この銃の握りは変わっている」
そう、この画像の通り真ん丸なのである。
94年式もそうなのだが、どうも日本軍の拳銃のグリップは変わっている。
これは、単に好みの問題なのであろうか?

 

Fri1_20110812
 さらに「文鎮」を入手

 

まったく未稼働のモデルガン、通称「文鎮」である。
中田商会から、このようなものがかつて発売されていたそうである。
頑住吉氏の稼働モデルガンと比較しても、まあ当たり前といえば当たり前だが
プロポーションは同じの製品である。
一体の鋳物(アルミダイキャスト?)のため、手に取るとそれなりにずっしりと
来るのが心地よい。
鋳込まれているシリアルNo.が75523なのは愛嬌である。

 

今年の年末には「坂の上の雲」の最終編が放送される。
あの秋山好古大佐は、この拳銃を持って作戦を行うのだ。
その拳銃が「ああ、こういうものなのか」と思ってみると、またドラマの味わいが
少し違ってくるかも?と思っている。

 

ところで、この拳銃の最大の謎は「設計者が誰だか判らない」ことである。
日本軍初の国産拳銃の設計者が不明。
なんともミステリアスな出来事である。
読み人知らず・・の、防人の歌のようで情緒がある。

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