レイアウトのサイズ考察
レイアウトの大きさとはどうやって決めるのか?
ここからはあくまで私の経験と私見である。

私のレイアウトの参考書
まだ小学生だった頃の私の参考書はこの2冊だった。
父は年齢的にOゲージから模型を始めている。
東京に出てきて就職して結婚、そして「私が生まれる」
そのときに鉄模社ED16と小高のオハ35(ペーパーキット)
を買って16番を始めるのである。
理由は色々あるのだが、その中に「所帯を持つと自分が
使えるスペースは限られる」があった。
16番は現在におけるNゲージやZゲージに近いもので
あった。
フレキ1本に中村精密Bタンクと貨車3両で遊ぶ私を
不憫に思ったのか、父が「レイアウトを作ろうか」と
買って来た参考書が中村汪介さんの「小レイアウトと
小型車輛」だった。
このレイアウトにおける小レイアウトは1820x910。
要するに「ベニア板定尺サイズ」
小型とはいえ16番の車両を使うにはこのくらいのサイズは
必要だった。
父と私が作成したレイアウトは1800x600。
この大きさは「家具調テレビとオーディオスピーカの上」
という当時は普遍的でも現代では「謎の存在」のおかげと
「子供ゆえの優先権」があったのである(遠い目)
レイアウトの設置スペースというのは、このように
「その時代の社会情勢や生活スタイル」が関係する
ものなのである。
その時代に誓ったのである「いつかレイアウト全書に
掲載されている”あのレイアウト”を作ろうと」
時代はかなり下って近代になる。

路面レイアウト「県道線」
オトナになってからの16番のレイアウト「県道線」は
レイアウト全書の「トロリーラインのレイアウト」を
自分なりの解釈で作りたかったからである。
(解釈のかなりの部分は架線システムだった)
幸運だったのは、この時代に始まったパソコン通信(遠い目)
のおかげで瑞穂電気軌道の作者の方と会う機会を持つことが
出来た。
そうなると「現物を見てもらって意見をもらいたい」と
なるのは当然の話である。
レイアウトサイズは「電車で遠距離移動可能」にするため
375x555で専用バックも用意した。
このレイアウト、よ~~っく見てもらうと判るのだが
(1)線路配置は瑞穂電気を単線にしたもの
(2)左側3軒のうち2軒は瑞穂電気を参考にしたもの
なのである。
(注:その建物のおかげで「あれ?これ見たことありますね」
と笑ってもらい話が弾んだ)

県道線と現在作成中の複線レイアウト
時代は現代になり現在作成中の複線レイアウトである。
上から見ると判るのだが、複線レイアウトの大きさを決める
ベースになったのが県道線であることが判る。
「中央のストラクチャ設置スペース」がほぼ同じである。
それでも複線間隔50mmとなればそれなりに道路部分は
広がるのでR150=>R140にしたりクロスのある配線は
諦めざるおえなくなっている。
収納や一人で移動可能な大きさを考慮した結果、サイズは
480x760に納めてある。
次はナローレイアウトである。
ある日父が「最近こういう車両が出て来たんだよ」
と会社近所にあった模型店の製品を買って来た。
それが珊瑚模型のDC12とシボフ・ボハフである。
ナローゲージ(1/87)の時代の到来である。
時代は「ダックスストーリー」であり、車両とレイアウト
がセットで提案されるのが活気的であった。
さらにダックスが入線してきて「新川軽便鉄道」という
レイアウトを作成した。
台枠サイズは1150x450、線路配置はナローゲージ
モデリングのなかお・ゆたかさんのデルタ線のある
プランを変形させたものである。
(注:残念ながら写真も現物も残っていない)
こちらも時代は下って近代になる。

電化軽便レイアウトの例
右はかつて「花巻風レイアウト」であったもの。
左は現在作成中の電化軽便レイアウトである。

上から見ると判る「親子関係」
右の元花巻風レイアウトは325x520
左は470x615
この2つのレイアウトは、先の日記に書いたような事情で
サイズアップしたのである。
・カーブがR140=>R177
・交換線
結局、この2つのレイアウトは「花巻デハを走らせたい」
という意味で目的は同じなのである。
そこに追加で走らせたい車両が増えることによって、
大きくなっただけなのである。
ところで、この2つは上方と中央部分に「低い山を入れて
景色を仕切っている」のはまったく同じ。
この画像を見ていて思い出した。
「この方法は”新川軽便鉄道由来”だ!」
ストラクチャやシーナリィは「モデラーの経験」が
長く影響を与える良い例だと思う。
最後は「極小サイズ」の話

作業軌道レイアウト
このレイアウトは「作業軌道のループ線を作りたい」と作成
したものである。

サイズは265x380
この大きさであれば「極小サイズ」と言ってもいいだろう。
面白いのは「作業用軌道のレイアウトはこの後いくつも
作成している」のに「残ったのはこのレイアウトだけ」という
ことである。
理由は色々あるのだが、結局「線路配置とサイズの妙」としか
言いようがない。
極小サイズレイアウトは「小さいがゆえにパッケージングが
難しい」ものだと私は思っている。
大きなレイアウトが高度で極小レイアウトが簡単ということは
無いと私は思う。
実は「まったく別モノ」なのだ。
レイアウトの大きさというのは「第三者が眺めたりメディアを
通じて鑑賞するため」だけでは決められないのである。
そこには「作者の歴史と事情」というものがあるのだから。
最後にTMSのコンペの応募について。
私は自分が作る鉄道模型を「アート」だと思ったことない。
「走行するしくみを組み込んでプレイする遊び」だと思って
いる。
(注:しくみという意味で”エンジニアリングかも?と
言ったことはある)
そう考えていた(おそらく父も)からこそ、私が生まれた
ときに「同じ父を持つ”模型”」を作ったのかもしれない。
要するに「子供といっしょに遊ぶ道具」だったのである。
それに共感したからこそ、私は鉄道模型を作る気持ちに
なったのだ。
そういう考えなのでTMSのコンペのように「作品として
審査される」ことを私は正直好まない。
「人に迷惑をかけなければ自由に遊んで良い」のだと
思う。
そう言いながら、実は'90年代に路面電車のレイアウトを
3作コンペに応募している。
それはなぜか?というと「先人への感謝の気持ち」である。
書籍で興味と知識を与えてもらい、その後は実際に会って
指導してくれる方もいたのである。
せめて「ここまでやれたのは皆さんのおかげです」と
発表する気になったのである。
そして「誰かの役に立てば」という気持ちもあった。
現在の心境は「この年齢になればいいよね?」である。
注意!
ここに記載されていることは「私の個人的経験」と
あくまで「私見」です。
参考にされてもいいですが、正解である保証はありません。
進捗状況によっては、内容を変更する場合もあります。
参考文献
鉄道模型趣味 (株)機芸出版社 発行
レイアウト全書 (株)機芸出版社 発行
小レイアウトと小型車輛 (株)機芸出版社 発行
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