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2021年10月

2021.10.23

ウルトラマチックというカメラ

誰も覚えていないと思うが、以前このブログで困った話をした。
 
Ultra1_20211023
ウチのズーマーは無限遠が・・・
ズーマーを久々にアサペンLX?で使ったときに「このレンズ
無限遠のピンが甘いぞ」というのに気が付いた。
10年以上前に購入したものなのに今さら気が付く?
別に困りはしないのだがハッキリさせてはおきたい。
そうなると純正ボディで確認したいのだが、前出の通りで
フォクトレンダーのボディは持っていないのである。
しかもデッケルマウント機は困った問題がある。
それは「ファインダーが素通しタイプが多い」のである。
フォクトレンダーのボディで素通しでないもの
・ベッサマチックm
・ウルトラマチックCS
・ベッサマチックCS
いずれも数が少なくて入手が難しいのである。
幸運なことに、偶然某所で一応動くが・・・なのでレンズ代
でいいよ、というウルトラマチックCSを見つけたので購入。
それを使って確認した結果は「無限遠は出てない」(ち~ん)
ところで、このカメラはともかく重い。
ボディ単体で855gもある。
ズーマーが802gなので上画像の組合せにすると大変である。
 
Ultra2_20211023
フィルム装填から悩む
このボディ、露出計X、当然AEはXなのだがシャッターは動作して
いるので使ってみようということになった。
ところが!である。
ウルトラマチック「どこを操作すれば裏フタが開くのか?」が
そもそも判らない(笑)
左肩の謎のノブとツマミを操作すると巻上ノブがポコン!と
出る・・・という謎ギミックから順に謎を解いていく。
 
Ultra3_20211023
フィルム装填は楽なのだが
苦労して裏フタを開けてフィルムを入れるのだが、このカメラの
巻取り軸は優れものでフィルム先端を3コマ目くらいで折って
突起に引っかかるように差し込めば終わりである。
おお!便利!
しかし、さすがはフォクトレンダー!この状態ではスプロケットは
フリー状態で巻上が出来ないしくみになっている。
苦労して巻き戻しノブを押し込んで裏蓋を閉めないと巻上がらない
のだが「フィルムが送られているか?」は巻き戻しノブ上面の
模様がゆ~っくり回るかどうか?でしか確認出来ない。
 
Ultra11_20211023
自動リセットの逆算カウンタ
ウルトラマチックのカウンタは自動リセットである。
お!便利!と思うのだがこのカウンタ、リセットする前に
20枚(え?)か36枚か?を選んでおく必要がある。
逆算式だからなのだが、36枚撮りなのに20枚でリセットする
と20枚でストップしてしまう。
すぐに気が付けば先の裏蓋開閉をしてリセット出来るのだが、
これも先に書いたが「巻き戻しノブを上げてまた戻すのは意外に手間」
なのである。
こういう「凝っているのは判るが便利なのかそれ?」を堪能する
のがフォクトレンダーのカメラとの付き合いなのかも?
 
Ultra5_20211023
ウルトラマチックCSのファインダー
このカメラは1965年から販売されている。
ファインダーは近代的?なスプリット/マット面である。
購入したときに「マット面でもピンが見られる」と期待したのだが
実際にはボ~っと見えるだけで今一つである。
前モデルまでの素通しを止めたのは、利便性向上ではなく
TTL開放測光を可能にするためだったのか?
こうなると、同年代のカメラのファインダーはどうなのか?が
気になるので撮影してみた。 
Ultra8_20211023
コンタレックススペシャル(1960年?)
 
Ultra6_20211023
ALPA6b(1959年)
 
Ultra7_20211023
ライカフレックスSL(1968年)
 
Ultra9_20211023
ニコンF(1960年)
世間では良く見えない!と評判?のALPAのファインダーであるが
6bのファインダーは意外によく見える。
凄いと思うのがライカフレックスSLのファインダーで、受光素子が
ミラーボックス下部にあるのでミラーはハーフミラーなのだが
ファインダーは暗くはなくて見やすい。
ニコンFはフレネルの線が画像縮小のためモアレになってしまった
がアイレベルファインダーでは暗くはない。
 
Ultra10_20211023
見やすくするための地味な努力
先の通りのファインダーを老眼の私が使うのは厳しい。
少しでも見やすくするためにゴムのアイピースを付けてみた。
この後、トップカバーを外してファインダー内清掃したことも
あってまあまあ見えるようになった。
 
Ultra4_20211023
シャッター速度優先AE可能なデッケル
前モデルのウルトラマチック(1962年)からシャッター速度優先
AEが可能であったが、CSではTTL開放測光になった。
ここで気が付いたことがある。
それは「AE撮影が可能な日本の一眼レフの最初は?」である。
資料を調べてみるとクラ専No.30 アサペン特集において
ES(1971年)の説明に「世界で最初のTTL開放測光、自動露出
の一眼レフ」とあるのを見つけた。
ウルトラマチックCSは6年も前に実現していたのに・・・
考えてみると、前モデルでセレン式外光式AEだったものを
TTL化したが「デッケルマウントはプレビューが出来ない」
ので結果的に開放測光になった?のでフォクトレンダーは
「世界初の!」と言いそびれてしまったのだろうか?
今となってはどうでもいいかも?ではあるものの、世界最古の
カメラメーカーの謙虚さ?が気の毒なのでここに書いてみた。
このカメラのシンクロコンパーは、他のデッケルのようなライト
バリュー式ではないので絞り/シャッターのダイヤルが独立で
回せるので操作がしやすい。
 
Ultra12_20211023
Septon50F2 F=1:4
 
Ultra13_20211023_20211023131101
Dynarex90F3.4 F=1:5,6
私が所有しているデッケルマウントのレンズは友人の遺品
である。
こうやって「本来の銀塩ボディ」で撮影していると、派手さは
ないが味のある描写を見ることでしみじみとする。
 
Ultra14_20211023
長年解けない「謎」
ウルトラマチックCSを入手して思い出したことがある。
私は友人からレグラCTLというM42のカメラをもらった。
このカメラ、普及品が主体のレグラにしては妙にハイスペックで
シャッター速度は最高速1/2000、シンクロは1/125とミノルタ
X-1と同等の高級品である(そうなのか?)
それはいいのである。
問題は「なぜかウルトラマチックに似ている」のである。
外観だけでなく、以下の共通点がある。
(1)巻取り軸の構造がほぼ同じ
(2)巻上レバーの位置がトップカバー下
ウルトラマチックはレバー上に露出計関係のパーツがある
のでこのような形にせざる負えなかったのだが、M42の普通?
のフォーカルプレーン機(しかも設計年次は新しい)が真似る
理由はどうも思いつかない。
そういえば、シャッターダイヤルとレリーズが同軸にある
Zeiss配置(注:そういう呼び方をする人もいる)だったりする
など色々と想像させる要素は多い。
クラカメ趣味は「こういう想像(妄想)」をするのがまた
楽しいのである。 
 
注意!
ここに記載されていることは「私の個人的経験」です。
参考にされてもいいですが、正解である保証はありません。
画像の描写についてはあくまで個人の感想です。
参考文献
フォクトレンダー オフィスヘリア 発行

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2021.10.11

ローライSL2000Fを使う

そろそろ寝ようか?と思ったら震度5の地震・・・
揺れが収まってから家内をチェックしたときになぜか
「ローライSL2000Fは動くだろうか?」とチェックする
気になった(あほ)
3003の方は3年に一度くらいは使うのでいいのだが、こちらは
「ひょっとしたら10年くらい使ってない?」ような気がする
のでドキドキだったが、動かなかったのは3003だった。
1時間ほどあれこれやって、マガジンの設定を間違えていただけ
なのが判った(地震の後にアホすぎ)
こりゃいかん!ということでSL2000Fを使うことにした。
 
Rollei1_20211011
純正グリップとの組合せ
SL2000Fを使うときはグリップとセットである。
3003ではビデオカメラのように片手でグリップできるようになる
のだが、このタイプではどうも持ちにくい。
 
Rollei2_20211011
マガジンの使い方を再確認する
このカメラの特徴はなんといってもマガジン交換式である。
このマガジンだけでも「ちょっとしたカメラ」と同じレベルの
複雑な作りで使い方を間違えると困ったことになる。
ところで面白い話がある。
フィルムホルダーを抜くときは上画像のポジションにする
のだが、このO_Oというポジションの「読み」が不明
なのである。
マニュアル(英語、日本語)にも読みはなく、カメラレビュー誌
の解説記事でもO_O とわざわざフォントを作っている(笑)
 
Rollei3_20211011
にぎやかなカメラ上面
直観的にクイッと回せるダイヤル操作はなかなか使いやすい。
シャッター速度ダイヤルはAとXにはクリックがあるのだが
15~1/1000は「可変抵抗のようにスルスル」になっていて
1/1000の先になってしまったりして焦る。
ウェストレベルファインダーはなぜか左右逆になることもなく
見やすいのでローアングルで使いやすい。
 
Rollei4_20211011
アイレベルファインダーは独特
アイレベルは視度補正がガッツリ出来るので見やすいはず?なのだが
覗く角度(スイートスポット)が凄く限られていて少しでも斜め
になると見えなくなる。
視度補正をちゃんと合わせてファインダーを覗くと「ピンの合った
ところが浮き上がるように見える」独特な使い心地である。
おかげで28mmクラスの広角レンズでもフォーカスしやすい。
もっともアウトフォーカス部はゆらゆらして見え(個人の感想)
ることがあり、無限遠で使うときに被写界深度内にあるところも
ゆれて見えてちょっとイラっとすることもある。
 
Rollei6_20211011
Planar50F1.4 F=1:5,6
 
Rollei5_20211011

Planar50F1.4 絞り解放
 
Rollei7_20211011
フィルムスキャン結果で衝撃の事実!
フィルムスキャンをしていて「あれ?」
シャッターが残っている?コマがある。
製造後30年以上動いている奇蹟のボディなので仕方がない?
と思ったが、さらに確認すると「AEで1/1000時に縦撮り」
するとこうなることが判った。
まさか重力が影響するとは!
 
改めて「クラカメには作法がある」ことを認識。
このくらいの心遣いが出来なくては使えないものなのだ。
 
注意!
ここに記載されていることは「私の個人的経験」であり、
各レンズの描写コメントは「個人の感想」です。
参考文献:
カメラ レビュー No.28 1983年3月 朝日ソノラマ 発行

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