新電鉄軽便レイアウト(3)
線路敷設を完了したので次は架線である。
私が作成する路面電車や電鉄のレイアウトは「架線集電対応が
必須」になっている。
それは続行運転やサウンドDCCを行うためには架線を使う
ことにメリットがあるからである。
反面、架線集電や架線の敷設については模型的には参考になる
ものが少ないので基本は全て自分で考えなくてはいけない。

架線柱の台座
私の使う架線システムは「すべて脱着式」である。
充分に強度を確保するようにはしているが「空中に敷設」する
ものは破損する可能性は高く、また「人間のケガを防ぐ」ために
必要時には外れることが必要だからである。
路面電車の長尾軌道シリーズ発足時には「裏側からナット止め」
だったのだが、その方法では架線柱脱着時にレイアウトを縦に
する必要があり、ストラクチャなどを壊すことがあった。
最近ではハトメを台座にして架線柱側は網戸のゴムを使った
脱着式が定番になっている。
今回、ハトメを圧入する治具(画像左上)を強度のあるものに
作り変えた。

ハトメを圧入
万力を使って真鍮板にハトメを圧入する。
簡単に見えて「ちょっと狭い穴にハトメを圧入」することは
コツが必要で、圧の加え方を失敗するとグチャっと潰れる。

台座の設置
私が使う架線柱の台座は2種類ある。
・ゴムを使用した上から差し込むだけ
・2mmネジで下側からナット止め
後者は架線給電用のフィーダ線を付けるためのもの(画像下側)
なのだが、差込式でもナットは使えるので今回は前者だけを
使用する。
ちなみに架線柱の仕様は以下の通り。
・架線高さ:60mm
・設置位置:レールセンターから25mm
こういうことは早めに「標準化」して、台座や架線柱を量産して
おくと実使用時に便利である。
(破損したときの予備パーツ確保が楽)

架線作成治具(先端部)
架線を脱着するしくみはPECOのN用ジョイント(ちょっと加工)
したものに0.8帯板(t0.4mmでちょっと特殊な真鍮帯板)の先に
1.0mm帯板(t0.3)の小片を付けたものを使う。
これまでは目見当でハンダ付けしていたのだが、それでは
作業に時間がかかることと「老眼」が辛いので上画像のような
治具を作成したら劇的に楽になった。
画像上のものが長い架線用、下は分岐部などの短い線用のもの
である。

架線作成治具(分岐部)
ポール/パンタを併用する場合は「共用可能な金具」で
分岐させる必要がある。
そこにハンダ付けするための治具は上のようなものである。
架線、架線柱、台座と用意出来たところで設置である。
当然ながらそれについてもコツがある。

架線柱設置(基本的カーブ)
直線はどうとでもなるがカーブの段階で考えないといけない
ことがある。
上画像はR177のカーブ築堤上に架線柱を設置したものだが
ちょっとでも現物の知識がある人は「違和感」を感じるの
ではないか?
そう「架線柱の位置がセオリーに反している」のである。
ちょっと専門用語を使うと「直接ちょう架式のトロリー線で
ハンガータイプ/各柱引きにする場合は架線柱は外側」なので
ある。
張力をかけた架線をカーブに添わせるためには外側に引っ張る
必要があり、バックボーンを入れるにしても架線柱は外側に
ないとそれを張ることも出来ない。
では「判っているクセになぜそうしないか?」
理由は簡単「模型として使うときジャマ」だから(笑)
実物と違ってレールや架線の維持、スタックした車両の救助は
人間が手を入れて行うのである。
架線柱があると維持が困難である。
こういうことは「あるべき論」でやってしまうと、そのうち
面倒になって「架線システムを止めてしまう」原因になる
のである。
こういうことは「生きていくうえでの知恵」である。

架線柱設置(分岐)

上から見たところ
分岐が入るとグッと面倒になる。
しかもこのレイアウト「分岐した先が急カーブ」なので
さらに面倒である。
先に述べたように「模型的都合で架線柱を内側」にしたい
のだが分岐+カーブでは車両が架線柱に接触してしまう。
そのため、仕方なくハンガータイプの架線柱を1本外側に
設置して、交換線側はクロススパン(線路中心から30mm)
になっている。
このような場合に架線をうまい具合の位置にするには
ジョイントの設置位置と架線長さの調整が必要で
経験が必要となる。
これがポールだけ、もしくはパンタ/ビューゲルだけにして
しまえばかなり簡単になるのだが妥協はしない。

架線敷設完了
治具の改良のおかげもあって架線設置は割と早く済んだ。
駅側から眺めてみると、こちら側はストラクチャの設置など
まだまだ考えないといけないことが多い。
とりあえず棚田&山側から地形を付け始めるか?
注意!
ここに記載されていることは「私の個人的経験」です。
参考にされてもいいですが、正解である保証はありません。
進捗状況によっては、内容を変更する場合もあります。
参考文献
鉄道模型趣味 No.302
レイアウト全書 (株)機芸出版社 発行
RAILFAN 12月臨時号 車両研究5 鉄道友の会 発行
RAILFAN 12月臨時号 車両研究6 鉄道友の会 発行
鉄道工学 森北出版株式会社 発行
| 固定リンク
コメント