東急世田谷線デハ80の制作(2)
前回「長年の課題」と書いた話である。

キットに同梱されている下回り
車体を組むときにキット同梱の下回りを確認すると「あれ?なんか
知らないものが入っている」と思った。
この時代(2000年)には動力がACEギア+シャフト連動になっている
のはともかくとしてこの台車はなんだろう?
調査の結果、晩年はデハ300で使われているTS322に交換されていたらしい。
(注:手持ち書籍が古くネットで調べた情報)
とりあえず組んでみると材質はホワイトメタルでメタルを打ち込んであって
それに8.0φの車輪という構成になっていた。
使うかどうか?を少し考えたのだが、私の路面レイアウトのカーブは
R140でシャフト連動の動力では無理なので断念することにした。
さて、そうなると下回りを調達しないといけない・・・

長年愛用してきたダルマヤ動力
私の世代の路面用動力といえばダルマヤである。
そのためストックはそれなりに確保していたのだが、ボギー車両の
ショートホイールベース台車(17mmと20mm)はとっくの昔に
ストックが無くなっていた(涙)
ところで「路面用動力の理想」のようにダルマヤ動力を書いているが
あるポイントで悩みがあった。
それは「動作音」である。
なにしろ昔の製品なのでサウンドDCCを意識しているとは言えない。
集電/低速走行は良いのだが、ウィィィ~ンと引っ張るあの音は
サウンド搭載時には悩ましかった。
原因を考えてみると以下のような感じ?
・ギアの数が多い
・比較的高回転型のキドマイティを盛大に減速して使うため
ギア部分の摩擦/叩く音が出やすい
・ウォームが2枚
そのため「静音動力を自製すべき」とはず~っと思っていた。
「長年の課題」を解決しなくては・・・と思ってはいたのだが、
面倒ではあるのでサボっていたのだが「キットを買うことで」
自分を追い詰めてようやく対応開始である。

イメージはこんな感じ?
「サウンドDCC時代の路面動力(静音化)」の方針を決める。
・ウォームギアは1セットにする
=>ナローガレージのモジュール0.3の1:24
・低回転/高トルクの小型モータ
=>SS10を採用
・回転連動が最も静かで簡便な方法
=>インサイドギア
考え方の基本は「回転する部分はモータを含めて低回転」である。
そうすれば騒音発生しにくいだろう、という考え方である。

久々のギアスライス
昨今は・・・というより、そもそもインサイドギア用の平ギアは
入手はほぼ不可能である。
そんなことで「走行させる模型としていいのか?」とはず~っと
疑問に思っていた。
文句を言っても解決しないので、吊掛モータ開発のときには
協育歯車のモジュール0.3のギアをスライスして使用した。
インサイドギアでも同じものを?と思ったが試行錯誤の結果として
モジュール0.5のギアをスライスすることにした。
=>そのため治具は新規作成

連動方式に悩んだ結果
インサイドギア作成で決めなくてはいけないこと。
・何枚の歯のギアを使うか?
・連動に何枚で行くか?(今回は軸距離17mm)
路面電車用の車輪は日光モデルの9.5φを使用する。
車輪側のギアとして使えそうな協育歯車のギアは15枚と
18枚があるのだが、径を測ってみると15枚(8mm)しか
使えないことが判った。
そうなると次は「何枚で連動するか?」である。
路面電車の低床用の台車では枕梁の位置が低い。
そうなると「小さいギアで5枚?」となる。
上画像を見ると判るのだが、5枚で行くとなると歯数10枚程度の
ものが必要になるのだが調達出来なかった(無念)
枚数が増えると作りにくくなることもあるのだが、その分騒音も
増す可能性が高い。
そうなると3枚にして真ん中に大きなギアということになる。
検討の結果、20枚でいけることが判った。
その案でさっそくインサイドギアを作成してみた。
当たり前なのだが、当然従前からの台車では使用出来ない。
さて、どうしたものか?

中央ギアの高さ問題
とりあえず枕梁を14mmの高いものにしてみた(安直?)
これで走行可能なのだが・・・
実際に床板に取り付けようとして気が付いた。
このままでは「床板は全幅カット」になってしまう。
それはなんとも不便である。
さてはて、どうしたものか?

枕梁を改良
そんなこと最初から気が付けよ!と思いながら、枕梁を凸型?に
して幅を6mm減少させた。
思いつくのは簡単なのだが、精度を保ちつつ曲げていく方法を
考案するのは結構手間だった(遠い目)
ちなみに、元の枕梁は非動力側にちょっと低くして使うことで
ロス無しで済んだ。
(注:このキットが床下シャフト駆動で床板位置が高いため)

デハ80用下回り
あれこれ苦労したがどうにか下回りが出来た。
床板に取り付けて仮配線してみる。

R140を通過
路面レイアウトでさっそくテスト走行を行う。
床板+動力で92g、ウェイト31gで走行させてみると極低速で
静音でR140を走行可能であることを確認出来た。

まだまだ実験段階?
とりあえずカツミの玉電80用の動力は出来た。
既存の路面電車の下回りと比較すると、たまたまこのキットの
床板位置が高いのですんなり(でもなかったが)使用出来た。
結果として運が良かった?ともいえる。
半面、「これを汎用可能(低床タイプ)と考えて良いか?は
なんとも微妙である。
軸距離も17mmは出来たが20mmはどうするか?
まだまだ修行だなぁ(遠い目)
注意!
ここに記載されていることは「私の個人的経験」です。
参考にされてもいいですが、正解である保証はありません。
進捗状況によっては、内容を変更する場合もあります。
参考文献
レイアウト全書 (株)機芸出版社 発行
RAILFAN 12月臨時号 車両研究5 鉄道友の会 発行
RAILFAN 12月臨時号 車両研究6 鉄道友の会 発行
世田谷線たまでん時代 宮脇俊三 宮田道一 編著 大正出版 発行
最近のコメント